ワイルド・パーティー

『ワイルド・パーティー』(Beyond the Valley of the Dolls)

『ワイルド・パーティー』は、1970年に公開されたアメリカの映画で、芸能界のダークな側面や、成功を求める若者たちの葛藤を描いた作品です。この映画は、成人向け映画として初めて広く知られるようになり、監督ラス・メイヤーと脚本家ロジャー・イーバートの共同制作によって生まれました。

制作背景と概略

この映画はもともと1967年の映画『哀愁の花びら』の続編を意図していましたが、権利問題から方向転換を余儀なくされ、最終的にはオリジナルのパロディー作品として完成しました。また、公開時にはMPAAから成人指定を受け、1990年にはNC-17に再分類されました。

あらすじ

物語は、ケリー・マクナマラ（ドリー・リード）を含む「ケリー・アフェアー」というロックバンドのメンバーが、巨額の財産を持つ叔母スーザン・レイク（フィリス・デイビス）を訪ねるところから始まります。彼女はケリーに財産の一部を渡す約束をしますが、彼女の財務顧問ポーター（ダンカン・マクラウド）が登場し、バンドのメンバーを見下します。彼らは叔母の紹介で、ロックプロデューサーである「Zマン」ことロニー・バーゼル（ジョン・ラザー）と出会い、バンド名を「キャリー・ネイションズ」に変えることになります。

バンドの成功が進むにつれて、メンバーたちの私生活にはトラブルが続出。ハリス（デビッド・ガリアン）は、ケリーのジゴロであるランス（マイケル・ブロジェット）に嫉妬し、ケイシー（シンシア・マイヤーズ）は不安からレズビアンのファッションデザイナー、ロクサーヌ（エリカ・ギャビン）との関係を持ちます。一方、ペトロネラ（マーシア・マクブルーム）は法科の学生エマーソン（ハリソン・ペイジ）と恋に落ちるなど、私生活は複雑になっていきます。

最終的に、Zマンのビーチハウスで開催されたパーティーでの悲劇的な事件が、物語をクライマックスに導きます。その結果、主要なキャラクターたちはそれぞれの選択によって運命を大きく変えることになります。

文化的影響と評価

『ワイルド・パーティー』は、成人向け映画としての特異なスタイルによって、多くの批評家や観客から注目を集めました。公開後、この映画は様々なリバイバル上映やビデオ販売によって大きな興行成績を上げ、アメリカ市場での総額は1000万ドルに達しました。

さらに、イーバートは映画の中でのテーマやキャラクターが実在の人物に一定の影響を受けていることを指摘し、映画が持つ文化的意義を強調しました。特に、ジャンル映画に与えた影響は計り知れず、後のホラー映画やカルト映画に多大な影響を及ぼしました。

総評

この映画は1970年代のカルト映画として称賛され、さまざまな「ベスト」リストに名を連ねました。今日に至るまで多くのファンを持ち、様々な作品に既存の文化の象徴として引用されています。『ワイルド・パーティー』は、単なる一作の映画以上のものであり、映画史における重要な位置を占めています。

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