ワケギ

ワケギ：ネギとタマ[[ネギ]]の交雑種

ワケギ（学名: Allium × proliferum）は、ネギ属に分類される球根性の多年草です。ネギとタマ[[ネギ]]の交雑種であり、太く発達した根元から緑色の葉を数多く出し、野菜として食用されます。その名前の由来は、根元から株が分かれて生長することから「分葱（わけぎ）」と呼ばれています。

名称の由来と地方名

「分葱」という名前は、株が分かれて生長する様子を表しています。ネギ類の中でも特に分蘖（ぶんげつ）しやすい特性が名前の由来となっています。地域によって様々な呼び名があり、熊本県では「一文字」や「人文字」、大分県では「千本」、南九州では「センモト」、沖縄では「ビラ」などと呼ばれています。また、市場での分類も地域によって異なり、関西ではワケギは本種のみを指しますが、関東ではワケネギも含めてワケギと分類される場合があります。

ワケギは、花茎の先端にできる珠芽（むかご）が特徴です。この珠芽は成長すると下に曲がり、親株から離れた場所に根付きます。この性質から、英語では「walking onion（歩くタマ[[ネギ]]）」と呼ばれています。また、「Egyptian onion（エジプトオニオン）」と呼ばれることもありますが、これはワケギがインド亜大陸からヨーロッパに伝わった歴史に関係しているという説があります。かつてはネギの一種と思われていましたが、遺伝子研究により、ネギとタマ[[ネギ]]の雑種であることが明らかになっています。

ワケギの特徴

ワケギの葉や茎はネギよりもしなやかで、地下部は赤褐色に肥大し鱗茎を形成します。ネギ坊主の代わりに珠芽をつけ、この珠芽は直径0.5～3cmほどで、茎に付いたまま発芽・成長します。この珠芽の形成は、ニンニクなど他のネギ属植物にも見られる現象です。

ワケギの栽培

ワケギは種子をつけないため、地中の球根を株分けして栽培します。生育には温暖な気候が必要で、生育適温は15～25度です。一般的に8月下旬に植え付け、9月下旬～11月上旬に収穫しますが、温暖な地域では冬まで収穫できます。また、冬越しさせ、翌年の早春（2～4月上旬）にも収穫し、初夏（5月下旬頃）に球根を掘り取ります。

栽培には日当たりの良い場所を選び、肥料を好むため、元肥を多めに施し、追肥も必要です。長期栽培となるため、マルチングを行うと雑草対策になり、栽培の手間を軽減できます。輪作年限は2～3年です。家庭菜園でもプランターなどで簡単に栽培できます。

栽培品種には早生種と晩生種があり、市販の種球は早生種が多く、1か月ほどで収穫できます。種球は1片ずつに分けて植え付け、2週間前に堆肥などを施し、耕した畑に株間20cmで浅く植え付けます。発芽後、葉が15cmほどに伸びたら、必要に応じて追肥を行い、秋と早春の2回収穫できます。収穫は草丈20cm程度で株元を残して行い、その後も新しい葉が伸びてくるので、複数回収穫できます。冬に葉が枯れたら収穫を終了し、春に新芽が出てきたら再び収穫できます。根ごと掘り上げて鱗茎を食べても良いですし、葉のみを収穫して、春に葉が枯れた頃に球根を収穫し、次の栽培に利用します。

ワケギの利用

ワケギは強い風味を持つものが多く、品種によっては香りが弱く甘いものもあります。鱗茎は皮が厚く辛みが強いのが特徴です。日本国外では、若い植物をスキャリオンとして利用したり、鱗茎をタマ[[ネギ]]のように調理したり、酢漬けにして保存することもあります。日本では、ぬた、卵とじ、チヂミ、薬味など様々な料理に使われます。広島県尾道市佐木島はワケギの産地として有名で、特産品としてレストランでの提供や加工品も販売されています。

朝鮮では、ワケギ(Allium × proliferum)と[ネギ]は「パ」（파）と呼ばれ、タマ[[ネギ]]は「ヤンパ」（양파）と呼ばれます。ワケギは「チョッパ」（쪽파）と呼ばれ、様々な料理に使われています。パジョンやパキムチなどが代表的な料理です。

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