南九州

南九州：多様な定義を持つ九州南部

南九州とは、九州地方の南部地域を指す呼称です。一般的には宮崎県と鹿児島県を合わせた地域を指しますが、その範囲は必ずしも明確ではありません。行政機関や企業、学術分野などによって定義が異なり、熊本県を含む場合や、交通網、地質学的区分に基づいた定義も存在します。

南九州の地域区分：曖昧な境界線

九州を南北に二分する場合、北九州と南九州に分けられます。三分する場合には、中九州が加わります。しかしながら、これらの区分には明確な境界がなく、それぞれの定義は用いる主体によって異なります。最も一般的な南九州の範囲は宮崎県と鹿児島県ですが、後述するように、この範囲を超えて熊本県を含む場合もあります。

範囲の多様性：行政、企業、学術

南九州の範囲は、以下の要因によって大きく異なります。

行政組織：地方制度調査会の「道州制のあり方に関する答申」の13道州案や国土交通省による日本の14地域区分では、熊本県を含む3県を南九州とする場合があります。
民間企業：多くの企業が熊本県を含む3県、もしくは熊本県と大分県を含む4県を南九州の担当区域としています。稀に沖縄県を含める企業もあります。
交通網：鉄道や高速道路網では、八代市以南を南九州と呼ぶ場合があります。南九州西回り自動車道、肥薩線、肥薩おれんじ鉄道などが該当します。
学術分野：地質学では、臼杵-八代構造線（中央構造線）より南側の領域を南九州と定義します。これには、熊本県南部、大分県南部の一部が含まれます。考古学では、九州の南北における文化の違いを論じる際に用いられる場合があります。

南九州を冠した組織・企業

数多くの公共機関、企業が「南九州」を冠した名称を使用しています。その管轄区域や担当エリアは、上記の通り多様であり、必ずしも宮崎県と鹿児島県に限られません。熊本県、大分県、さらには沖縄県を含むケースも見られます。例として、南九州信用金庫協会、南九州大学、南九州イエローハット、クリクラ南九州などがあります。

歴史、文化、産業、地形：多様な特徴

南九州は、その地理的広がりと歴史的背景から、多様な特徴を持っています。

歴史：古代には、熊襲や隼人といった豪族が活躍し、ヤマト王権との対立も起こりました。中世以降は島津氏が勢力を拡大し、薩摩藩の中心地となりました。
文化：日本神話、古くからの南島（奄美群島、琉球諸島など）との交易、琉球文化の影響など、独特の文化圏を形成しています。
産業：農業が盛んで、畜産、柑橘類、茶、タバコなどが主要な産品です。クルマエビの養殖も盛んです。工業は比較的弱いです。
地形：九州山地が東西に連なり、宮崎平野、大隅平野など比較的規模の小さい平野や盆地が点在する複雑な地形です。多くの火山が存在し、火山活動の影響を強く受けています。

交通網

南九州の交通網は、山岳地帯の影響を受け、北部九州と比べて発達がやや遅れています。鉄道は九州新幹線、日豊本線、鹿児島本線などが主要路線です。道路網は九州自動車道、南九州西回り自動車道、東九州自動車道などが整備されています。港湾は鹿児島港、宮崎港などが主要港湾です。空港は宮崎空港、鹿児島空港などがあります。

まとめ

南九州は、地理的範囲が曖昧で、定義が複数の解釈を持つ複雑な地域です。その歴史、文化、産業、地形は、多様で魅力的です。今後、南九州を理解するためには、それぞれの文脈における「南九州」の定義を明確にすることが重要です。

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