ワシカモメ

ワシカモメ

ワシカモメ（学名: Larus glaucescens）は、カモメ科に属する鳥類で、主に北アメリカや日本の沿岸部で見られます。この種は、アメリカオオセグロカモメの近縁種であり、特にピュージェット湾では雑種がよく見られます。

分布

ワシカモメはシベリアの東部、カムチャツカ半島、そしてアラスカの北西沿岸で繁殖します。繁殖期が終わると、個体によっては繁殖地に留まったり、南方に移動したりします。アラスカで繁殖した個体は、主にカリフォルニアの沿岸へと越冬のために飛んでいきます。日本においては、冬鳥として本州の中部以北と北海道に渡来し、関東地方以西では稀にしか見られません。

形態

この鳥の全長は61から69cm、翼を広げた時の幅は約140cmに達します。体の背面や翼の上面は青灰色で、初列風切は灰色をしています。頭部から胸にかけては白色で、嘴は特筆すべき特徴です。嘴の色は黄色で、他のカモメ類と比較すると大きめで、下嘴の先端部には赤い斑点が見られます。

生態

ワシカモメは海岸、内湾、港、河口などの場所に生息し、特に岩礁の多い海岸を好む傾向があります。非繁殖期には、一般的に群れを成して生活しますが、日本ではオオセグロカモメの群れの一部として見かけることが多いです。繁殖期に入ると、コロニーを形成し、集団で巣を作り、育雛を行います。食性に関しては、動物食で、主に魚類や頭足類、甲殻類、海鳥の雛や卵、貝類、さらには動物の死骸を摂取します。また、鳴き声としては「ニャーオ」「アゥー」「キィーュ」など、オオセグロカモメやシロカモメと似た声を発します。

オオセグロカモメとの交雑

2003年には、北海道の礼文島でオオセグロカモメとの交雑が記録され、さらに2005年から2010年の間に、北海道利尻町や利尻富士町で繁殖行動が観察されています。これらの交雑は、種の多様性や適応の研究に重要な材料となっています。

保全状態評価

IUCN Red Listでは、この種は「LEAST CONCERN」と評価されており、現状の個体数には特に懸念がされていません。

参考文献

• - 叶内拓哉『山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥』、山と渓谷社 1998年
• - 桐原政志『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版 2000年
• - 真木広造他　『日本の野鳥590』　平凡社

このように、ワシカモメは特徴的な生態を持っており、様々な地域で観察される貴重な鳥類です。

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