シロカモメ

シロカモメ（白鴎）

シロカモメ（学名：Larus hyperboreus）は、チドリ目カモメ科に属する大型の鳥類です。その名の通り、白い羽毛が特徴で、北極圏を中心に生息しています。

分布

シロカモメは、ユーラシア大陸、北アメリカの北極圏、グリーンランド、アイスランドといった寒冷な地域で繁殖します。冬季になると、やや南下して越冬します。

日本では冬鳥として渡来し、北海道や東北地方では比較的よく見られますが、関東以西では稀な存在です。北海道では、夏を越す個体も確認されています。

形態

全長は約71cm、翼を広げると約160cmにもなる大型のカモメです。セグロカモメよりも大きく、堂々とした体格をしています。成鳥になるまでには4年を要します。

成鳥の夏羽は、頭部から体の下面にかけて純白で、背中や翼の上面は淡い青灰色をしています。冬羽では、頭部から胸にかけて褐色斑が現れます。嘴は黄色で、下嘴の先端には赤い斑点があります。足はピンク色をしています。雌雄同色です。

幼鳥は全身が淡い褐色をしており、成長とともに徐々に白色化していきます。また、背中や肩羽に青灰色の部分が混ざり始めます。

生態

繁殖期には、海岸付近や河口、内陸の淡水湖などに生息します。あまり内陸の奥深くまで入ることはありません。非繁殖期には、海岸や港湾で見られますが、外洋に出ることは少ないです。

繁殖期、非繁殖期ともに群れで生活することが多いですが、日本への渡来は単独または小群で、他のカモメ類と混群を形成していることが多いです。

食性は動物食で、魚類、甲殻類、海鳥の雛、海獣の死骸などを食べます。

繁殖形態は卵生です。砂地や海岸の岩の上、草地などに枯れ草や海藻を敷いて巣を作ります。繁殖時にはコロニーを形成することが多いです。繁殖期は5月から7月で、2〜3個（稀に4個）の卵を産みます。抱卵と育雛は雌雄共同で行います。

鳴き声は、「ミャオー」または「クワー」と聞こえます。

類似種との識別点

体が大きく、全身が他のカモメ類と比べて白いことから、比較的容易に識別できます。アイスランドカモメが比較的似ていますが、シロカモメの方が体が大きく、嘴や足、頸が長いです。

参考文献

桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年
真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年
マイケル・ウォルターズ著、山岸哲監修、『世界「鳥の卵」図鑑』、新樹社、2006年、111頁

関連項目

日本の野鳥一覧

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