ワジム・バカーチン

ワジム・ヴィクトロヴィチ・バカーチンについて

ワジム・ヴィクトロヴィチ・バカーチン（1937年11月6日 - 2022年7月31日）は、ソビエト連邦およびロシア連邦における著名な政治家であり、最後のKGB（ソ連国家保安委員会）議長として広く知られています。バカーチンは穏健な改革派として知られ、ミハイル・ゴルバチョフの改革政策を支持しました。

来歴

バカーチンはケメロヴォ州のキーロフスクに生まれました。卒業後、ノヴォシビルスク建築技術大学で学び、1960年より建設企業でのキャリアをスタートしました。主任技師や監督として勤務し、1964年にソ連共産党に加入します。

その後、1971年には住宅建設企業の主任技師に、1973年には地元ケメロヴォ市の共産党第二書記に就任。1977年にケメロヴォ州党書記を経て、1985年には共産党中央監査委員に選ばれ、さらに1986年には党中央委員に昇進します。1987年には再びケメロヴォ州党第一書記となり、その翌年にはゴルバチョフによって内務大臣に任命されました。

内務大臣として、バカーチンは穏健改革派の立場から民族問題に貢献しようとしましたが、より強硬策を主張する保守派からの圧力に直面します。1990年、ゴルバチョフが保守派に譲歩した際、バカーチンは内相を辞任し、保守派のボリス・プーゴが後任として就任しました。

同年8月には新たに設立された大統領評議会のメンバーとなり、1991年のロシア大統領選挙にはゴルバチョフの推薦で立候補するものの、ボリス・エリツィンやウラジーミル・ジリノフスキーなどの候補に敗北し、得票率はわずか5%という結果でした。

ソ連崩壊後の活動

1991年8月のソ連8月クーデターが失敗した後、バカーチンは国家非常事態委員会のメンバーとして活動し、身をもってKGBの最後の議長に就任しました。彼はKGBの解体を進め、クーデター後もゴルバチョフをサポートし続けました。

その後、1991年から1992年にかけて、独立国家共同体（CIS）の下で設立された共和国間保安庁の初代議長として活動しました。また、1992年には政治・国際問題に関する国際「改革」基金の副総裁兼院長に就任し、政治と国際関係の分野で影響力を持つ存在となりました。

バカーチンは2022年7月31日に84歳で逝去しました。彼の政治キャリアは、ソ連の改革と崩壊、そして新たなロシアの形成において重要な役割を果たしました。

著書

バカーチンの著書には『最後のKGB議長』があり、これは佐藤利郎の翻訳によって1992年に講談社から出版されました。

バカーチンの人生とキャリアは、ソ連の歴史を理解する上で欠かせない要素であり、政治的な変革期における彼の貢献を振り返ることは重要です。

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