ワディ・ワクテル

ロバート・ワクテルの音楽キャリア

ロバート・"ワディ"・ワクテル（Robert "Waddy" Wachtel）は1947年5月24日、ニューヨーク市クィーンズ、ジャクソン・ハイツに生まれたアメリカのミュージシャン、作曲家、音楽プロデューサーであり、特にギターを中心に様々な楽器を操ることで知られるマルチ・インストゥルメンタリストです。彼の音楽キャリアは1970年代に始まり、様々なアーティストのレコーディングやツアーに参加することで広がっています。

初期の経歴

若きワクテルは、10歳でギターのレッスンを受け始めました。元々は左利きでしたが、この機会に右利きに矯正されました。14歳の時には初めて作曲を始め、幅広いスタイルのギターを習得しました。楽譜の読み書きも学びながら、ローカル・バンドでの演奏を経て、初のリーダーバンド「オーファンズ」を結成しました。このバンドでは、ガレージロックやサーフロックのカバーを演奏し、さらにはジャズ・ギタリストのサル・サルヴァドールからインプロヴィゼーションを学びました。

その後、「トゥワイス・ナイスリー」を結成し、1968年にはロサンゼルスに移ります。デモ・テープを制作した後、ワクテルはセッション・プレイヤーとしての道を選び、アルバムのプロデュースにも関わることになります。1979年にはダン・ダグモアやリック・マロッタらと共にバンド「ローニン」を結成し、デビュー・アルバムをリリースしました。

セッションワークの開始

1972年、彼はウォーレン・ジヴォンの勧めでエヴァリー・ブラザースのアルバムのレコーディングに参加します。この出会いが彼の音楽人生を大きく変え、以降ジヴォンとは長い付き合いが始まります。また、ジヴォンのヒット曲「ロンドンのオオカミ男」を共作し、プロデューサーも務めるなどしました。

ワクテルは翌年も多くのセッションをこなし、リンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスのファーストアルバムの制作にも関与しました。1975年にはフリートウッド・マックのアルバムのレコーディングにも参加し、その音楽的な才能が業界内で高く評価されるようになりました。この時期から彼は多くのアーティストのセッションやツアーに参加し、確固たる地位を築いていきます。

主なセッションワーク

1988年には、ロックのアイコンであるキース・リチャーズとの強力なパートナーシップを形成します。リチャーズのソロ・デビューアルバムに参加した後、彼のバック・バンドであるX-ペンシブ・ワイノズに加わり、ツアーにも同行しました。

2000年以降の活動

2000年にはワディ・ワクテル・バンドを結成し、ロサンゼルスのクラブでの活動を続けています。彼は2010年のグラミー賞授賞式でテイラー・スウィフトと共演したことでも知られています。また、イミディエイト・ファミリーとして知られるバンドにも参加し、2020年にはアルバム「Turn It Up To 10」を発表しました。

映画音楽

ワクテルは音楽活動の傍ら、多くの映画音楽も手掛けており、「ロンゲスト・ヤード」や「モール★コップ」といった映画に曲を提供しています。1972年には「ポセイドン・アドベンチャー」にもエキストラ出演し、様々な形で映画界にも関与してきました。

その他の情報

彼は絶対音感の持ち主としても知られており、その音楽的才能は多くの人々に影響を与えています。しかし、1998年には妻と共に児童ポルノ事件で逮捕され、有罪判決を受けるという事件もありました。現在は、その冤罪を示唆する声も上がっています。音楽界における多岐にわたる業績のほか、彼の複雑な過去もまた、彼自身の興味深いストーリーの一部となっています。

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