ワライカモメ

ワライカモメ：笑い声で知られるカモメ

ワライカモメ（学名：Leucophaeus atricilla）は、チドリ目カモメ科に分類される海鳥の一種です。その最大の特徴は、人間の笑い声のように聞こえる独特な鳴き声。この鳴き声が英名「Laughing Gull」の由来となり、和名もそれをそのまま訳したものです。

形態

体長はおよそ40センチメートルほどの中型のカモメです。オスメスは似た外見をしています。

夏羽: 繁殖期に見られる夏羽では、頭部が濃い黒色になります。背中や翼の上面は青みがかった濃い灰色で、体の下面や尾は純白です。嘴と足は鮮やかな赤色を呈します。
冬羽: 繁殖期を過ぎて換羽すると冬羽になります。冬羽の頭部は白色ですが、目の周囲から後頭部にかけて黒っぽい斑点が散らばるのが特徴です。嘴や足の色は夏羽ほど鮮やかではなく、やや黒ずんだ色合いになります。

分布

ワライカモメは主に新大陸に分布しています。

繁殖地: アメリカ合衆国の東海岸沿いやメキシコ湾岸、カリブ海周辺の島々、そして南米のベネズエラにかけての地域で繁殖を行います。
越冬地: 冬が近づくと、ブラジル沿岸部や南アメリカ大陸の太平洋側（チリ付近まで）へと長距離を移動し、暖かな地域で冬を過ごします。
日本での記録: 日本においては、本来の生息地から大きく離れた場所で見られる「迷鳥（めいちょう）」として扱われています。これまでに記録された例は非常に少なく、2000年には火山列島の硫黄島と愛知県で、また2010年5月には青森県でその姿が確認されたという記録があります。

分類上の位置付け

ワライカモメの分類は、近年見直しが行われました。かつては、多くのカモメの仲間と同じLarus属（カモメ属）に含められていましたが、2005年に行われた分子系統学的な研究によって、Larus属が単系統群ではない（つまり、いくつかの系統群が混ざっている）ことが明らかになりました。この研究結果を受け、ワライカモメは新たに設けられたLeucophaeus属（ワライカモメ属）に分類されることになりました。

類似種との識別

ワライカモメは、日本でもよく見られる[ユリカモメ]と似た印象を与えることがありますが、いくつかの点で識別が可能です。ワライカモメの方が、ユリカモメに比べて嘴、足、そして頸がやや長く見える特徴があります。また、翼の上面の色がユリカモメよりも濃い灰色であることも、識別する上での重要なポイントとなります。

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