ワルター・ウェラー

オーストリアのヴァイオリニスト、そして国際的に活躍した指揮者、ワルター・ウェラー（Walter Weller, 1939年11月30日 - 2015年6月14日）は、音楽一家に生まれた。父はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のヴァイオリニスト、ワルター・ヴェラーであり、同名の父の下、早くから音楽の道に進んだ。

幼少期からヴァイオリン演奏に非凡な才能を示し、神童として注目された。ウィーン音楽院でフランツ・サモヒルの指導を受け、17歳の若さでウィーン・フィルの演奏会に客演。1958年にはウィーン国立歌劇場管弦楽団に第1ヴァイオリン奏者として入団した。1961年にはウィーン・フィルハーモニー協会の正会員となり、正式にウィーン・フィルの第1ヴァイオリン奏者に。そして、1964年からはコンサートマスターのポジションを務め始め、1965年に正式に就任した（一部資料には異なる記載もあるが、当時の映像等からは1965年就任が裏付けられる）。また、室内楽分野でも重要な足跡を残しており、1959年には自身の名を冠したウェラー弦楽四重奏団を結成。このグループは1971年頃まで活動を続け、録音も行っている。ヴァイオリニストとして確固たる地位を築いた。

ヴァイオリニストとして絶頂期にあった1960年代後半、ウェラーは指揮活動への関心を深めていく。著名な指揮者であるヨーゼフ・クリップスに師事し、指揮者としての訓練を積んだ。1969年にはウィーン国立歌劇場で指揮者としてのキャリアをスタートさせると同時に、長年籍を置いたウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を退団し、指揮者に専念することを決意した。

指揮者転向後、活動の場を国際的に広げる。一時ドイツのデュースブルクに拠点を移した後、1977年にはイギリスに移住。イギリスを活動の中心に据え、数々の主要オーケストラで要職を歴任した。特に、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、スコティッシュ・ナショナル管弦楽団（現在のロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団）で首席指揮者を務め、各オーケストラの芸術水準向上に貢献した。その解釈は、ドイツ・オーストリア音楽の伝統を踏まえつつも、多様なレパートリーに及び、特にソ連時代の作曲家の作品にも積極的に取り組んだ。代表的な録音としては、セルゲイ・プロコフィエフの交響曲全集などが挙げられる。これは彼の指揮者としての評価を確立する上で重要な役割を果たした。イギリスでの活動は長きにわたり、その誠実で堅実な音楽作りは多くの聴衆や楽員から支持を得た。

晩年も活発な指揮活動を続けたが、2015年6月14日、故郷であるウィーンで逝去した。享年75歳。

ワルター・ウェラーは、ヴァイオリニストとしてウィーン・フィルのコンサートマスターという最高峰の地位に就きながら、思い切って指揮者へと転身し、その分野でも国際的な成功を収めた稀有な存在である。ウィーン楽友協会における長年の貢献に加え、特にイギリス音楽界への貢献は大きい。その功績を称え、小惑星の一つ（小惑星番号5464番）には彼の名が冠されている。

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