ワン (ハリー・ニルソンの曲)

楽曲「ワン」（One）

「ワン」は、才能溢れるシンガーソングライター、ハリー・ニルソンによって作詞作曲され、1968年に初めて発表された楽曲です。この作品は、ニルソン自身のバージョンも評価が高い一方で、翌1969年にスリー・ドッグ・ナイトが発表したカバーバージョンが全米で圧倒的なヒットを記録し、広く一般にその名を知られることとなりました。

ハリー・ニルソンのオリジナル・バージョン

ニルソンによるオリジナル版は、1968年2月にシングルとして世に出されました。シングルのB面には、デヴィッド・モロウが手がけた楽曲「Sister Marie」が収められていましたが、この曲は当初どのアルバムにも収録されず、後に『The RCA Albums Collection』など、いくつかのコンピレーション・アルバムに収録されることになります。

A面を飾る「ワン」は、同年7月にリリースされたニルソンのアルバム『空中バレー（Aerial Ballet）』に晴れて収録されました。

さらに、1971年に発表されたリミックス・アルバム『Aerial Pandemonium Ballet』には、「ワン」の別バージョンが収録されています。このバージョンは、原曲に比べてダブル・ベースのサウンドがより強調されているのが特徴で、楽曲全体の長さも短くなっています。

スリー・ドッグ・ナイトによる大ヒット・カバー

スリー・ドッグ・ナイトは、この楽曲を1968年10月16日に発売された彼らの記念すべきデビュー・アルバム『Three Dog Night』に収録しました。このアルバムバージョンでは、チャック・ネグロンがリード・ボーカルを担当しています。

アルバム収録後、1969年4月にはシングルカットが行われ、これが大ヒットへと繋がります。シングルはビルボードのHot 100チャートにおいて、1969年6月28日から7月12日までという3週間にわたり、最高位である5位を維持しました。

このシングルのB面には、ロックグループ、ザ・バンドによる楽曲「チェスト・フィーヴァー」のカバーが収録されるという興味深い組み合わせでした。

スリー・ドッグ・ナイトの「ワン」は、その年の音楽シーンを象徴する一曲となり、1969年のビルボード年間チャートで11位にランクイン。その商業的な成功は、ゴールドディスク獲得という形でも証明されました。

その他の著名なカバー・バージョン

「ワン」は、その魅力的なメロディーと歌詞によって、多くのアーティストにもカバーされています。代表的なものとしては以下のバージョンが挙げられます。

アル・クーパー: 1969年リリースのアルバム『アイ・スタンド・アローン』に収録。
ボビー・ヴィー: 同じく1969年のアルバム『Gates, Grills & Railings』に収録。
ザ・ニュー・シーカーズ: 1971年のアルバム『Beautiful People』に収録。
清水仁: 1986年のアルバム『ONE』に、日本語詞によるカバーが収録されました。
エイミー・マン: ハリー・ニルソンへのトリビュート・アルバム『For the Love of Harry: Everybody Sings Nilsson』（1995年）に収録。
ドッケン: 1999年のアルバム『Erase the Slate』に収録。
* ネイサン・レイン: 2002年のコンピレーション・アルバム『Music from and Inspired by Stuart Little 2』に収録。

ハリー・ニルソンの繊細なオリジナルから、スリー・ドッグ・ナイトのエネルギッシュなヒット版、そして多様なアーティストによる解釈まで、「ワン」はその時代を超えて愛され続ける名曲としての地位を確立しています。

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