ワン (U2の曲)

U2 - One

「One」は、U2が1991年に発表したアルバム『アクトン・ベイビー』に収録された楽曲で、1992年にはシングルとしてリリースされました。この曲は、U2の代表曲の一つとして広く知られています。また、メアリー・J. ブライジとU2の連名で2006年に発表されたシングルについても解説します。

オリジナル・バージョン

アルバム『アクトン・ベイビー』は、U2にとって大胆な路線変更を試みた作品でしたが、その中にあって「One」は、従来のU2らしい誠実さが感じられるバラードナンバーです。

1990年10月、バンドはプロデューサーのブライアン・イーノ、ダニエル・ラノワ、エンジニアのフラッドと共にベルリンのハンザスタジオに入りました。レコーディングは難航し、メンバー間の仲も険悪になるほどでしたが、そんな状況の中で「One」は奇跡的に生まれました。

歌詞の解釈については諸説ありますが、ボノはローリングストーン誌のインタビューで、「ゲイであることをカミングアウトした息子とその父親の関係性をモチーフにしたもの」と語っています。「俺たちはひとつだけれども、同じではない」「相容れないもの同士でも、支え合って生きていくしかない」というメッセージが込められています。しかし、この曲が結婚式で使われることが多いことについて、ボノは困惑しているようです。

シングルの収益金は、エイズの調査機関に寄付されました。ジャケットはデヴィッド・ヴォイナロヴィッチが撮影した写真で、彼は本作発表と同年の1992年にエイズで亡くなりました。

アクセル・ローズは「One」を聴いて感動のあまり涙を流し、ボノに手紙を送り「アメリカ国歌にしたい」と伝えたといいます。また、ノエル・ギャラガーも「これまで書かれた曲の中で最も偉大なものの1つ」と絶賛しています。

2007年には、VH1の番組「The Greatest」における企画「90年代の最も偉大な100曲」で、ニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」に次ぐ2位にランクインしました。ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500では、36位にランクインしています。

メアリー・J. ブライジ & U2バージョン

2005年12月にリリースされたメアリー・J. ブライジのアルバム『ザ・ブレイクスルー』には、ブライジとU2の共演によるバージョンが収録されました。2006年にはシングルとしてリリースされ、世界的なヒットを記録しました。

ボノが2003年にミュージケアーズ・パーソン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた際のチャリティー・ディナーでブライジがこの曲を歌い、ボノと意気投合したことが共演のきっかけとなりました。

PV

「One」のPVは3種類存在します。マーク・ペリントンが監督したBuffalo Version、フィル・ジョアノーが監督したバージョン、アントン・コービンが監督したバージョンです。

アントン・コービンのバージョンは、ボノの父親が出演していることや、エイズを思わせる内容から、一時お蔵入りとなりましたが、後に一部をカットして公開されました。

ライブ

「One」は、Zoo TVツアーの初日からイノセンス&エクスペリエンス・ツアーでセットリストから外れるまで、ほぼ全てのライブで演奏されてきました。ライブでは、「Hear Us Coming」という歌詞が追加されることがよくあります。

また、パヴァロッティ＆フレンズ・コンサート、フリーチベットコンサート、46664コンサート、ライブ8などのチャリティライブでも頻繁に演奏されています。

カバー

「One」は、様々なアーティストによってカバーされています。ジョニー・キャッシュ、ジョー・コッカー、カウボーイ・ジャンキーズなどがカバーしており、エディ・ヴェダーは、U2がケネディ・センター名誉賞を受賞したことを受け、授賞式でカバーを披露しました。

「One」は、U2の代表曲として、音楽史に残る名曲として、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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