ワンダーリング・スピリット

ミック・ジャガーのソロアルバム『ワンダーリング・スピリット』は、1993年にアトランティック・レコードからリリースされました。これは、彼が同レーベルと新たにソロ契約を結んでから初めてのアルバムであり、彼のソロキャリアにおける重要な転換点となりました。以前の2作のソロアルバムも、この契約に伴いアトランティック・レコードから再発されています。

プロデュースは、音楽業界で著名なリック・ルービンが担当。彼は、多様なジャンルのアーティストを手がけることで知られており、本作ではミック・ジャガーとの共同プロデュースという形でその才能を発揮しました。このアルバムには、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーが3曲でベースを演奏するなど、豪華なゲストミュージシャンが参加しています。特に、ビル・ウィザースのカヴァーである「ユーズ・ミー」では、レニー・クラヴィッツがミック・ジャガーとのデュエットを披露し、話題を呼びました。

アルバムからの先行シングル「スウィート・シング」は、全英シングルチャートで24位、全米シングルチャートで84位を記録しました。アルバム自体も商業的に成功を収め、ミック・ジャガーのソロ活動における代表作の一つとして評価されています。

『ワンダーリング・スピリット』の制作中に録音されたものの、最終的にアルバムには収録されなかったアウトテイク「チャームド・ライフ」は、後にリミックスが施され、ミック・ジャガーのベスト・アルバム『ヴェリー・ベスト・オブ・ミック・ジャガー』（2007年）で発表されました。

収録曲は以下の通りです。

1. ワイアード・オール・ナイト - "Wired All Night"
2. スウィート・シング - "Sweet Thing"
3. アウト・オブ・フォーカス - "Out of Focus"
4. ドント・テア・ミー・アップ - "Don't Tear Me Up"
5. プット・ミー・イン・ザ・トラッシュ - "Put Me in the Trash" (Mick Jagger, Jimmy Ripp)
6. ユーズ・ミー - "Use Me" (Bill Withers)
7. イヴニング・ガウン - "Evening Gown"
8. マザー・オブ・ア・マン - "Mother of a Man"
9. シンク - "Think" (Lowman Pauling)
10. ワンダーリング・スピリット - "Wandering Spirit" (M. Jagger, J. Ripp)
11. ハング・オン・トゥ・ミー・トゥナイト - "Hang on to Me Tonight"
12. アイヴ・ビーン・ロンリー・フォー・ソー・ロング - "I've Been Lonely for So Long" (Posie Knight, Jerry Weaver)
13. エンジェル・イン・マイ・ハート - "Angel in My Heart"
14. ハンサム・モリー - "Handsome Molly" (Traditional)

参加ミュージシャンには、ミック・ジャガー本人の他に、ジミー・リップ、ブレンダン・オブライエン、フランク・シムズ、ジェイ・ディー・マネス、ジョン・ピアース、ダグ・ウィンビッシュ、フリー、カート・ビスケラ、ジム・ケルトナー、ビリー・プレストン、ベンモント・テンチ、デヴィッド・ビアンコ、マット・クリフォード、コートニー・パイン、レニー・クラヴィッツなどが名を連ねています。彼らの多様な才能が、アルバムのサウンドに深みと彩りを与えています。

『ワンダーリング・スピリット』は、ミック・ジャガーの音楽的な探求心と、様々なミュージシャンとのコラボレーションによって生まれた、彼のソロキャリアを代表する作品の一つと言えるでしょう。

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