ワースブレイド

ワースブレイド：ロボットファンタジーTRPGの世界

ワースブレイドは、1988年にホビージャパンから発売されたロボットファンタジーテーブルトークRPGです。企画・制作は伸童舎が担当し、ゲームデザインは千葉暁、システムデザインは松本富之、ワールドデザインは日下部匡俊が手がけました。

1994年の「ワースブレイド スターティングブック」以降、シリーズは休眠状態でしたが、2008年8月にd20システム（D&D3.5版対応）を用いた新作「ワースブレイド／d20」が発売されました。

概要

舞台は「ア・ハーン」と呼ばれる、中世ヨーロッパ程度の文明レベルを持つファンタジー世界。そこには「操兵」と呼ばれる古代のオーバーテクノロジーが存在します。遺跡荒らしや用心棒として日銭を稼ぐ冒険者（剣の聖刻年代記では「山師」）となり、ア・ハーンを駆け巡るのがプレイヤーの役割です。

操兵とそれを取り巻く世界設定は緻密かつ重厚であり、操兵に頼らずとも、スタンダードなファンタジーRPGとして十分に楽しめます。

システム

行為判定は10面ダイス1個による上方判定で行います。LUC（幸運度）を消費することで、一時的にダイスの数を増やし達成値を上昇させることができます。これにより、ロボットアニメのようなヒロイックな活躍を表現することが可能です。

GM（ゲームマスター）はWM（ワースメーカー）と呼ばれます。

キャラクターはクラス制とスキル制を組み合わせたもので表現されます。キャラクター作成時に職業パックを選択することで、初期習得スキルと習得不可能なスキルが決定されます。

セッション中に完全成功（全てのダイスの出目が10）または絶対失敗（全てのダイスの出目が1）したスキルのみ成長機会を得られるため、スキルを持っていないと挑戦できないスキル（術法など）の習得は困難です。

キャラクター作成において、性別や種族による修正は特にありません。

操兵のPOW値を前にしたら人間の筋力は意味をなさないという設定のため、筋力(STR)に相当する数値は設定されていません。

キャラクタークラス

主なクラスは、戦士、練法師、僧侶（修道士、伝道師）です。操手は操手技能を持つ者であり、クラスではありません。

戦士：一般的なファンタジー世界の戦士と同様。攻撃と防御にボーナスがありますが、気闘法以外の術は使用できません。
操手：操兵を操る者。職業パックにあるのは操手技能を取った戦士のみ。僧侶以外は訓練で誰でもなれます。
練法師：聖刻（ワース）に関わる秘術「練法」の使い手。魔法使いに相当します。専門の属性（八門）に属する必要があります。練法は秘術であるため、正体を隠していることが多いです。
僧侶：神の教えを説く聖職者。聖刻に関わる一切の物を拒絶します。宗派によって修道士と伝道師に分かれます。
修道士：東洋系の格闘僧侶。武術系の「気闘法」と僧侶系の「気功術」を使います。
伝道師：一般的なRPGの僧侶。強力な「召霊衝法」を使います。聖刻に関わる物は一切使えません。
俗業：「盗賊」「商人」「農民」「船乗り」など、上記のクラス以外の職業を指します。下級の練法や気功術を使える者もいます。

操兵（リュード）

操兵は、ワースブレイドの華とも言える存在です。古代文明の遺産であり、現代では「工呪会」と「聖刻教会」の2つの組織のみが製造技術を持っています。これらの組織は操兵を各国に販売し、世界の軍事バランスを裏から操っています。

操兵は非常に高価であり、ほとんどが国によって所有されています。騎士に与えられる馬や武具のように扱われ、操兵を操ることは位の高い騎士の証明となります。

ワースブレイドには、PCが操兵を入手するためのルールは存在しません。遺跡探索で発見するか、敵から奪う必要があります。

操兵は1つのキャラクターデータとして扱われ、人間とは異なる能力値とルールで運用されます。

身長5-8メートルほどの巨大兵器である操兵は非常に強力で、生身の人間が操兵に勝つことは困難です。

操兵の部位は機体と動力源である仮面（ペルソナ）に分かれ、それぞれランクがAからJまであります。現代の技術ではCランクまでしか製造できません。仮面は意思を持ちますが魂は持たないと言われ、操手の精神を乗っ取ることもあります。

消耗品として血と冷却水があり、仮面にも寿命があります。機体は金属製の骨格に筋肉筒と装甲をまとったもので、材質は主に粗鉄です。

操縦席には操手桿や映像盤などが備わっていますが、精神感応だけでも動かすことができます。特に呪操兵には操縦用の機械装置は一切ありません。

操兵は操兵鍛冶職人による手作業で生産されるため、量産機でも完璧な規格品は存在しません。

操兵の機種

狩猟機：人間の形をした高性能機。騎士の乗り物とされています。自己再生機能を持つものもあります。
古操兵：1000年以上前の古代文明によって作られた操兵。遺跡から発掘されます。現代製の狩猟機よりも高性能です。
従兵機：狩猟機を簡易化した機体。コストが安く操縦も簡単なため、従者の乗り物とされます。開放型操手槽を持つ機体も多いです。
呪操兵：練法が使える機体。練法師専用です。操縦には操兵と同型の仮面を付けます。
擬似呪操兵：工呪会が鹵獲した呪操兵を研究して造ったもの。練法は最低限しか扱えません。
秘操兵：超古代文明、もしくは神によって作られたオリジナルの操兵。他はこれの劣化複製に過ぎません。
呪兵機：放棄された操兵の部品を原材料に「神の工房」で再生された機体。人間を部品の一部に組み込んでいます。
人馬操兵：ケンタウロス型の操兵。狩猟機より機動力と耐久力が高いです。

練法

練法はいわゆる魔法のようなもので、印を結ぶことで発動します。気功術、召霊衝法よりも強力ですが、練法用の聖刻石か仮面が必要です。練法師は聖刻教会以外の宗教組織とは対立関係にあります。

俗業も下級の練法を習得できます。操兵の動力源である仮面は練法師の仮面とほぼ同じ構造をしています。

高位術の使用には長時間の詠唱と成功チェックが必要で、失敗すると自分に向けて暴発する危険性があります。

練法は数少ない、生身で操兵を倒せる技であり、ワースブレイドのロマンを象徴する要素の一つです。

八門

練法には八門と呼ばれる属性が存在します。

表門：陽門、金門、火門、木門
裏門：月門、風門、水門、土門

気功術と召霊衝法

気功術は体内の気を練る術で修道士が、召霊衝法は聖霊の力を借りて奇跡をなす術で伝道師が使用します。

東方エクスパンション

ア・ハーンの東方世界は、巨大な蟲と樹海が人類の支配領域を侵食している、日本/中国風の文化を基底としたファンタジー世界です。西方とは全く異なる世界観を持っており、「武操」という武術を用いることで、巨大な怪物を武術で倒す武侠ファンタジーが楽しめます。

東方の操兵は生物的な側面が強く、人間の意思に敏感に反応します。また、「獣操ノ仮面」を装着し、騎乗した人間に操られる「騎獣」も存在します。

製品リスト

ワースブレイド スタートセット
東面の魔術師
魔王の復活
マスタースクリーン
エクスパンションセット1～4
聖者の仮面
遥かなるカイ・ダイン
操兵の書 西方操兵
ワースブレイドがよくわかる本
東方エクスパンション1～2
ワースブレイドスーパースクリーン
ワースブレイド スターティングブック
「街」シリーズシナリオ
ワースブレイド／d20
ワースブレイド／d20 エクスパンション

ワースプロジェクト

ワースブレイドは、伸童舎のメディアミックス企画「ワースプロジェクト」の一環として販売されました。ア・ハーンを舞台にした作品を様々なメディアで展開しています。

聖刻（ワース）1092シリーズ

ワースプロジェクトの中核を成す代表作で、小説を中心に展開されています。ワースブレイドよりも数百年後のア・ハーン大陸を舞台に、フェンとヴァシュマールの活躍を描きます。

その他、聖刻1092RPG、聖刻群狼伝/聖刻群龍伝シリーズ、剣の聖刻年代記シリーズ、真・聖刻（ラ・ワース）シリーズ、聖刻覇伝（ワースジード） ラシュオーンの嵐、神聖刻記ブリーダーズ・ワース、聖刻真拳プラグリュード、聖刻邪塔伝ヴェントストラーダ、聖刻の大地 Ground for WARES、聖刻-BEYOND-などの関連作品が存在します。

外部リンク

ワースプロジェクト 公式サイト
ワースブレイド／d20公式サイト
伸童舎スタッフブログ（ゲーム開発元）
わしの部屋 （世界設定と小説版を担当している日下部匡俊のサイト）
聖刻日記（日下部匡俊が、聖刻シリーズに関するコラムを日記形式で書き込むサイト）
剣の聖刻年代記 - マンガ図書館Z
* ワースブレイド・ スタートセット - マンガ図書館Z

もう一度検索