ワールドスタジアム2

『ワールドスタジアム2』（WORLD STADIUM 2）は、日本のゲームメーカーであるナムコ（現：バンダイナムコエンターテインメント）が開発・販売し、1998年にPlayStation向けにリリースされた野球ゲームです。長年にわたり親しまれている「ファミスタ」シリーズの流れを汲む一作として位置づけられており、特にPlayStationでは1996年発売の『ワールドスタジアムEX』に続く第2弾にあたります。また、前年度にNINTENDO64向けに発売された『ファミスタ64』の実質的な続編としての側面も持っています。

本作の発売以降、PlayStationプラットフォームにおけるナムコの野球ゲームは「ワースタシリーズ」として展開され、2002年に『熱チュー!プロ野球2002』（ファミスタシリーズとしては同時期にゲームボーイアドバンスで『ファミスタアドバンス』も発売）が登場するまで、その中心的な存在であり続けました。

グラフィックの進化

前作『ワールドスタジアムEX』では、ゲーム内のムービーシーンなどに3Dグラフィックが使用されていたものの、実際の試合で操作する選手キャラクターは2Dで表現されていました。しかし、『ワールドスタジアム2』ではこの点が大きく進化しました。選手たちが完全に3Dポリゴンでモデリングされるようになり、投球動作や打撃スイングといった野球における様々なモーションが、より立体的でスムーズに表現されるようになりました。これにより、ゲームの視覚的なリアリティと臨場感が向上しています。

操作性の改善

『ワールドスタジアムEX』は、従来の「ファミスタ」シリーズとは異なる独自の操作体系を採用していましたが、一部のプレイヤーからはその操作感に対して否定的な意見も聞かれました。この反省を踏まえ、『ワールドスタジアム2』では操作方法が見直され、シリーズファンにとって馴染み深い、シンプルで直感的な操作感へと回帰しています。これにより、多くのプレイヤーがスムーズにゲームに入り込めるようになりました。ただし、残念ながら当時のゲームソフトで広く普及し始めていた、コントローラーの振動機能には本作は対応していません。

豊富なゲームモード

『ワールドスタジアム2』は、単に野球の試合を楽しむだけでなく、多様な遊び方を提供するために、ユニークなゲームモードを多数搭載している点が大きな魅力です。前作と比較してもモード数は大幅に増加し、野球ゲームに異なるジャンルの要素を取り入れた遊びが提案されています。

作曲くん：プレイヤーがオリジナルの応援曲を自由に作成できるモードです。楽譜の形式で音符を配置していくことでメロディを組み立て、特定の選手が打席に立つ際など、指定した場面でその選手固有の応援歌としてゲーム中に流すことが可能でした。
戦国!国盗リーグ：日本のプロ野球に加盟する12球団の中からお気に入りのチームを選び、日本の領土を巡る戦いを繰り広げるという、野球と戦略シミュレーションを融合させたモードです。試合に勝利することで各地の領土を獲得していき、最終的に全国の制覇を目指すという、ユニークな目標が設定されています。
分身くん：プレイヤー自身の分身となるオリジナル選手を作成し、育成できるモードです。様々な種類の入団テストに挑戦し、そのテストの成績に応じて選手の能力値が決定されます。作成した分身選手は、他のゲームモードで使用することができます。
リーグ戦：1人から最大6人までのプレイヤーで楽しむことができる、基本的なリーグ戦モードです。このモードでは、通常のプロ野球チームを使用するだけでなく、「分身くん」で作成したオリジナル選手や、「戦国!国盗リーグ」で強化したチームなどをリーグに参加させることができ、高いカスタマイズ性と繰り返しプレイする楽しさを提供していました。

選手データとその他の要素

ゲームに登場するプロ野球選手は、当時の実名で収録されています。これにより、より現実に近い感覚でプレイすることができました。しかし、発売当時に世間を賑わせた、いわゆる「プロ野球脱税事件」に関与したとされる一部の選手については、ゲーム中には収録されていませんでした。

また、本作のテレビCMには、当時野球解説者としても活躍されていた元プロ野球選手、掛布雅之氏が出演し、話題を集めました。

『ワールドスタジアム2』は、グラフィックの進化、操作性の改善、そしてユニークなゲームモードの追加により、PlayStationにおけるナムコの野球ゲームの地位を確固たるものにした、シリーズにとって重要な一作と言えます。特に、選手が完全に3D化されたことで、その後の「ワースタ」シリーズ、そして『熱チュー!プロ野球』へと続くグラフィック表現の基礎を築きました。

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