ワ州

ワ州（Meung Vax）

ワ州はミャンマーのシャン州に位置する自治区であり、ミャンマー政府によってはシャン州第二特区として認識されています。この地域は、中国の雲南省と北側および東側で接しており、歴史的に「黄金の三角地帯」の中心に位置していました。かつてはアヘンの生産が主要な産業とされていたことが、地域の経済や社会構造に大きな影響を与えてきました。ワ州の中心地はパンサンであり、ここはワ州連合軍（UWSA）の支配下にあり、ミャンマー中央政府の実際の支配が及ばない独立した地域となっています。

歴史

ワ州における麻薬生産の歴史は謎に包まれており、正確にいつから本格的にケシの栽培が行われていたのかは不明ですが、19世紀後半にさかのぼるとされています。著名な著述家である高野秀行は、ワ族が当時からアヘンの生産を行っていた可能性があると述べています。また、清国政府がアヘン禁止令を強化していたために、山岳地帯での生産が増えていたという意見もあります。

1886年にはワ州がイギリスの植民地に組み込まれ、以降アヘンの生産に対する規制が厳格化しました。1878年に制定された最初のアヘン法は、1909年に改訂され、1938年にはさらに厳しい規則が設けられましたが、ワ州では依然としてケシ栽培が行われていました。特に、土地が貧しく他の作物を育てることが困難な地域では、農業の唯一の収入源としてアヘンが貴重視され続けました。

1950年代には、ワ州は国共内戦の影響を受け、中国国民党や中国共産党の支配を受けることになりました。その後、1969年からはビルマ共産党の管理下に置かれ、最初のうちはケシの栽培に対して消極的でしたが、1970年代後半には中国からの支援が減少したことから、資金確保の必要性からアヘン生産に乗り出していくことになります。

1989年、ビルマ共産党が崩壊すると、ワ州連合軍がこの地域を支配するようになり、再びアヘンの生産が急増しました。1990年代半ばにはメタンフェタミンの生産にも着手し、ワ州の薬物産業はさらなる発展を遂げました。このように、ワ州の薬物産業は歴史的に強い影響を持ち、現在に至るまで続いています。

ワ州の文化や地域社会は、こうした歴史的な背景からさまざまな側面を持っています。地域の標語は存在しませんが、歌「我ワ州を愛す」は、ワ族のアイデンティティや誇りを表しています。この地域に住む人々にとって、経済的 hardships が続く中でも自らの文化とアイデンティティを守り続ける努力は重要なテーマとなっています。

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