ンドランゲタ

ンドランゲタとは

ンドランゲタ（Ndrangheta）はイタリアのカラブリア州、特にレッジョ・ディ・カラブリアを主な拠点とする犯罪組織であり、イタリアの主要なマフィアの一つです。約150の団体から成るこの組織は、約5,200人の構成員を抱え、恐喝や麻薬取引、武器密輸に加え、放射性廃棄物や有害廃棄物の不法投棄にも関与しています。シチリアのコーサ・ノストラよりもさらに閉鎖的で、暴力的な性質を持つとされています。また、イタリアのGDPの約3%を占めるとされ、その影響力は広範囲に及びます。

語源

「ンドランゲタ」という名称の起源には、ギリシャ語の「ανδραγαθια (andragathía)」が由来である説や、地域名であるAndragathia Regioからの説があります。カラブリア州は古代からギリシャ人が多く暮らしている地域であり、この歴史的背景が名前の起源にも影響を与えていると考えられています。

起源と歴史

この組織の起源は明確ではありませんが、19世紀初頭の両シチリア王国時代に遡るとされています。当時のカラブリアは大土地所有制が支配的で、地主は農地の管理を農地管理人に任せていました。これらの管理人たちは武装自警団を組織し、農村の治安を維持する中で、その権力を拡大していきました。この武装自警団がンドランゲタの基盤となったと考えられています。

1960年代後半にいたり、ンドランゲタは農村から都市部に進出し、大規模な公共事業への介入や誘拐、麻薬取引などで利益を拡大しました。特に1980年代には、シチリアのヘロイン精製所が摘発され、シチリアのマフィアがカラブリアに移転したため、両者の提携関係が強固なものとなりました。この麻薬取引から得た資金で、観光関連事業にも進出しました。

ンドランゲタが国際的に注目される原因の一つが、1973年に発生したジョン・ポール・ゲティ3世誘拐事件です。彼はローマで誘拐され、高額な身代金が要求されましたが、ゲティは支払いを拒否。その結果、誘拐団は彼に危害を加えることとなりましたが、身代金が減額された後、彼は解放されました。現在も主要な犯人は捕まっておらず、その影響は未だに続いています。

1970年代後半には、麻薬業界を巡るファミリー間の抗争が激化し、警察も捜査・逮捕に乗り出す一方、組織内部は厳重に区分されていました。これにより、構成員同士の連携が難しくなったといわれています。

組織構成

ンドランゲタにおける基本の単位は「ンドリーナ（’ndrina）」であり、これはシチリアマフィアのファミリーに相当します。組織のトップは「カポ・バストーネ」や「カポ・ソチエタ」と呼ばれ、その下にむかう副ボスが「ヴィーチェ・カポ」、相談役には「コンタービレ」が位置します。組織内部では、「カモッリスタ」が主要な役割を果たし、その下に「ピッチョッティ」と呼ばれる兵士が控えています。監視役には「マストロ・ディ・ジョルナータ」がいて、縄張りの管理を行います。

興味深い点として、シチリアやアメリカのマフィアには存在するコミッションが、ンドランゲタには存在しないとされており、各ンドリーナ間の問題を解決する機関は確認されていません。

2009年には、組織のリーダーであるサルバトーレ・コルッチョが逮捕され、組織の構造に少なからぬ影響を及ぼしました。

批判

2014年には、カラブリア州とプッリャ州で発生したマフィアによる報復殺人事件の影響で、3歳の幼児が巻き込まれる悲劇が起きました。教皇フランシスコがカラブリア州を訪れ、非難の意を表明し、マフィアに対して強い厳罰を求めました。彼は「マフィアは悪魔を崇拝し、神に属することはない」と発言し、その影響は多くの人々が理解しているところです。

ンドランゲタはその影響力と犯罪行為により、イタリア社会に深い影を落とし続けている存在です。

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