レッジョ・ディ・カラブリア

レッジョ・ディ・カラブリア：イタリア南部の歴史と文化の交差点

レッジョ・ディ・カラブリアは、イタリア半島最南端、メッシーナ海峡に面したカラブリア州の州都です。約18万人の人口を抱えるこの都市は、州の政治・経済の中心地として重要な役割を担っています。シチリア島と海峡を隔てて近接しており、古くから両地域の文化交流の中心地として栄えてきました。

古代からの歴史：ギリシャ植民都市レギオン

レッジョ・ディ・カラブリアの起源は、紀元前8世紀にカルキスのギリシャ人によって建設された都市レギオンに遡ります。クーマエに次ぐマグナ・グラエキア最古のギリシャ植民都市の一つとして、レギオンは芸術・哲学・科学の中心地として繁栄し、イビュコスなどの著名な詩人を輩出しました。共和制を敷いた時代もあり、メッシーナ海峡の支配を確立するなど、地中海世界において重要な役割を果たしました。

ローマ時代にはレギウムと名を変え、重要な同盟都市としてローマ帝国の支配下に入りました。ローマ時代には、陸路と海路の結節点として繁栄し、造幣局や独特の文化・慣習を維持していました。スパルタクスによる反乱の舞台にもなった地でもあります。

中世から近世：数々の支配者と災害

西ローマ帝国崩壊後は、東ローマ帝国、ノルマン人、アラブ人など、様々な勢力の支配を受けました。戦略上の重要拠点であったため、幾度も侵略と紛争に巻き込まれました。9世紀にはイスラム教徒の支配下に入り、住民が奴隷として連れ去られる悲劇も経験しました。

ノルマン人の支配下では、ギリシャの文化や宗教が維持され、シチリア王国の一部となります。その後、アラゴン王国、アンジュー家、スペイン・ハプスブルク家など、幾多の支配者を経験し、常にシチリア島との深い結びつきを保ち続けました。16世紀にはバーバリ海賊の襲撃を受け、16世紀から17世紀にかけてはスペインの重税による衰退、疫病、地震の襲来に見舞われました。1783年のカラブリア地震では壊滅的な被害を受けました。

ナポレオンの支配下、ブルボン家による統治をへて、19世紀には柑橘類のベルガモット栽培が盛んとなり、美しい庭園に例えられるほど景観が整備されました。

近現代：イタリア統一、地震、そしてンドランゲタ

1860年のイタリア統一後、レッジョは「レッジョ・ディ・カラブリア」と改称されました。しかし、イタリア王国による南イタリアの産業収奪によって経済は衰退しました。1908年のメッシーナ地震では、レッジョも甚大な被害を受け、多くの犠牲者を出しました。地震からの復興は近代的な都市計画に基づいて行われ、旧市街の景観は大きく変化しました。

第二次世界大戦中は連合軍の空襲を受け、大きな被害を被りました。戦後、レッジョはンドランゲタと呼ばれるマフィア組織の影響下に置かれます。1970年代から1990年代にかけて、ンドランゲタは都市の政治経済に深く食い込み、市民生活を脅かしました。しかし、「レッジョの春」と呼ばれる市民運動によって、都市は徐々に再生の道を歩み始めました。

現在も、ンドランゲタとの闘い、歴史的建造物の保存、観光業の振興など、様々な課題に取り組みながら、発展を続けています。

レッジョ・ディ・カラブリア：まとめ

長い歴史の中で幾多の困難を乗り越えてきたレッジョ・ディ・カラブリアは、古代ギリシャ文化の遺産と近代都市の活力が共存する魅力的な都市です。メッシーナ海峡に面した美しい景観、豊かな歴史文化、そして活気ある現代都市の姿は、多くの観光客を惹きつけてやみません。しかし、その発展の裏側には、ンドランゲタとの闘いという大きな課題が潜んでいます。この都市の未来は、歴史と文化を尊重しながら、現代社会の課題と向き合うことができるかどうかにかかっていると言えるでしょう。

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