ヴァイオリン協奏曲第1番 (バッハ)

ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 BWV1041

ヨハン・ゼバスティアン・バッハが作曲したヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 BWV1041は、彼の3つのヴァイオリン協奏曲のうちの一つであり、ホ長調の第2番に次いでよく演奏される作品です。この協奏曲は、後にチェンバロ協奏曲第7番 ト短調 BWV1058に編曲されましたが、ソロヴァイオリンのパートの簡潔さや、BWV1058におけるチェンバロソロの左手パートの完成度から、BWV1058の方が先に作曲されたという説も存在します。

楽曲構成

この協奏曲は、3楽章形式で構成されています。アントニオ・ヴィヴァルディが確立した協奏曲の形式である「急-緩-急」の構成を踏襲しています。

第1楽章：Allegro (速度指示は厳密にはない)
第2楽章：Andante
第3楽章：Allegro assai

楽器編成

この協奏曲は、以下の楽器編成で演奏されます。

ソロ・ヴァイオリン
弦楽合奏
バッソ・コンティヌオ

演奏時間

演奏時間は、全体で約15分です。

第1楽章：約5分
第2楽章：約6分
第3楽章：約4分

各楽章の詳細

第1楽章

この楽章には、速度指示は厳密にはありません。主題は繰り返し演奏されますが、ソロヴァイオリンは直接主題を演奏することはありません。16分音符の細かい動きには、デタッシェ奏法が用いられます。

第2楽章

4小節の前奏に続き、ソロヴァイオリンが登場します。アリアのような美しいメロディーが歌われます。

第3楽章

9/8拍子で、各八分音符が重要な役割を担っています。26小節目からソロパートが始まり、ヴァイオリンの演奏技巧が際立つ部分です。同音（ホ）を開放弦と別弦で弾き分けながら和声を変化させる技巧は、無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータのパルティータ第3番ホ長調プレリュードにも見られ、バッハの作品であることを裏付けています。

バッハのヴァイオリン協奏曲

現在、バッハのヴァイオリン協奏曲として知られているのは、このイ短調（BWV1041）とホ長調（BWV1042）、そして2つのヴァイオリンのためのニ短調（BWV1043）の計3曲です。しかし、実際にはこの2倍以上の作品が存在したと考えられています。これらの協奏曲は、1717年から1723年のケーテン滞在中に作曲されたとされており、おおよそ1720年代に集中的に作曲されたと考えられています。

外部リンク

Violin Concerto in A minor, BWV 1041の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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