ヴァイクセル軍集団

ヴァイクセル軍集団の設立と動向

背景と設立

ヴァイクセル軍集団（独: Heeresgruppe Weichsel）は、1945年1月24日にドイツ国防軍の一部として設立されました。この軍集団の設立は、陸軍参謀総長ハインツ・グデーリアンの要請によるもので、彼はヴァイクセル川下流とオーデル川下流における防衛ラインに穴が生じたことを考慮し、新たな軍集団の編成が必要であると判断しました。これにより、周辺に配置された部隊や敗残兵を集結させ、ヴァイクセル軍集団が形成されることになりました。

初代司令官にはマクシミリアン・フォン・ヴァイクス元帥が任命される予定でしたが、ナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーの意向により、親衛隊全国指導者のハインリヒ・ヒムラーが就任しました。この背景には、ヒトラーが国防軍と親衛隊の関係改善を図りたかったという狙いがあり、権力の拡大を企図するマルティン・ボルマンの思惑も影響していました。しかし、ヒムラーは軍事的な指導力に欠けたため、3月20日にはゴットハルト・ハインリツィに交代しました。

ソルティス作戦と戦闘

ヴァイクセル軍集団は設立後、ソルティス作戦に従事することになります。この作戦では、1945年3月下旬までにキュストリン要塞への攻撃が命じられましたが、激しい戦闘が繰り広げられたにもかかわらず、作戦は失敗に終わりました。この結果、軍集団は西ポメラニアから進撃するソビエト赤軍に対する防御任務に移行することとなります。

ハインリツィの指揮の下、軍集団はオーデル川での防衛を試みましたが、赤軍の強力な攻撃に対抗できず敗北を重ねました。その後、指揮官がクルト・シュトゥデントに交代しましたが、既に戦局は厳しい状況にありました。若干の部隊は1945年5月8日のナチス・ドイツ降伏まで戦い続けたものの、戦力の劣化は否めませんでした。

組織と装備

ヴァイクセル軍集団には約50万人の兵員が配属されましたが、その装備の質はだいぶ劣化していました。これは、戦争末期のドイツ軍全般に見られた特徴であり、戦闘に必要な資材や設備が極度に不足していたからです。例えば、軍集団設立時には通信通信機器や司令部設備などの基本的な運営資材も十分に確保されておらず、ヒムラーの整えた設備が使われていました。

全体として、ヴァイクセル軍集団は設立当初から苦戦を強いられ、次第にその能力は低下していきました。戦局の変化に対応しきれなかったこの軍集団は、最終的には何とか戦闘を続けたものの、ドイツの敗北を避けることはできませんでした。

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