ヴァスデーヴァ

ヴァスデーヴァについての詳細

ヴァスデーヴァ（梵: वसुदेव、IAST：Vasudeva）は、アーナカドゥンドゥビ（梵: आनकदुन्दुभि、IAST：Ānakadundubhi）とも称され、インド神話において重要な役割を果たす登場人物です。その名前の由来は、彼の誕生の際に神々が奏でた太鼓の音にあります。このキャラクターはヤヤーティの子孫であり、ヤーダヴァ族の王シューラとマーリシャーの間に生まれました。彼の妻には、デーヴァキーやローヒニーが含まれています。また、彼はアーナンタの化身バララーマとヴィシュヌ神の化身クリシュナをもうけています。

物語の背景

ヴァスデーヴァの物語は、彼の子供たちとカンサ王との悲劇的な関係に深く根ざしています。マトゥラーの王カンサは、ヴァスデーヴァとデーヴァキーの間に生まれる子供によって自分が殺されると予言を受けたため、2人を不当に投獄しました。カンサはその後、生まれる子供たちを次々と殺していきました。こうして6人の子供たちが命を落としましたが、運命は第7子に異なる道を用意していました。

おびただしい悲劇の中で、第7子であるバララーマは、デーヴァキーの胎内からローヒニーの胎内に移され、安全に生まれました。この特殊な事情から、バララーマはヨーガの力によって守られました。

特に第8子であるクリシュナの誕生は、ヴァスデーヴァにとっての転機となりました。クリシュナが誕生すると、彼は自ら牢獄を抜け出し、新たに生を受けたクリシュナをナンダの妻ヤショーダーの子供とすり替えることに成功しました。この策によってカンサは、その娘をデーヴァキーの子と勘違いし、残念ながら彼女を犠牲にしました。しかし、娘がヨーガ・マーヤー女神の化身であり、カンサにその真実を告げることで、彼は罪の意識に苛まれつつも、最終的にはデーヴァキーとヴァスデーヴァを解放することになります。

家族関係

ヴァスデーヴァは、ヤーダヴァ族の王シューラとマーリシャーとの間に生まれており、彼には多くの兄弟や姉妹がいます。彼の兄弟にはデーヴァバーガやデーヴァシュラヴァス、アーナカ、サンジャヤなどが存在し、姉妹にはプリターなどが含まれます。特にプリターは、後にクンティーボージャに養子に出され、名をクンティーへと改名しています。また、異母兄弟にはナンダがいます。

妻と子供たち

ヴァスデーヴァは、デーヴァキー、バドラー、ローヒニー、マディラーといった妻を持っていました。また、デヴァカの7人の娘たちも彼の配偶者として知られています。デーヴァキーとの間には、6人の子供と先述のバララーマ、クリシュナ、スバドラーがいますが、バララーマは特別な事情によりローヒニーの胎内で育てられました。さらに、ローヒニーとの間には、バラ、ガダ、サーラナ、ドゥルマダ、ヴィプラ、ドルヴァ、カルタなどが生まれました。

このように、ヴァスデーヴァの物語は、運命、家族、犠牲、神々の力など、多くのテーマを内包しており、彼の人生を通じて描かれる教訓は、今なお多くの人々に影響を与えています。

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