ヴァリグ・ブラジル航空254便墜落事故

ヴァリグ・ブラジル航空254便墜落事故

1989年9月3日、ヴァリグ・ブラジル航空のボーイング737-241が燃料切れにより墜落し、13名の命が失われました。この事故は様々な要因が重なりあい、悲劇へとつながったものです。

事故の概要

この事故は、ボーイング737-241（機体記号: PP-VMK）がサンパウロからベレン空港へ向かう途中に発生しました。機長32歳、副操縦士29歳を含む乗務員は全体で4名、航空機には48名の乗客が搭乗していました。南米のサッカーワールドカップ予選が行われる日で、国民はその試合に注目していました。

254便はサンパウロのグアルーリョス国際空港を出発し、いくつかの都市を経由してベレン空港を目指していました。フライトは順調に進み、最終目的地に近づいたところで事故が起こりました。

事故の詳しい経緯

副操縦士が外部点検を行っている際、機長は方位指示を入力しましたが、指示にミスがありました。機長はフライトプランでの0270の指示を270度と解釈したのですが、実際の意図は027.0度でした。これはヴァリグ航空の指示方法が変更されたにもかかわらず機長がこの情報を把握していなかったためです。この為、機長は270度という誤った設定を行ってしまい、実際には北北東への航路から真西に向かう結果となりました。

離陸後、機長はベレンに近づいたと判断し降下の許可を求めたものの、無線通信がうまくいかず、他の便を中継して無事通信を試みますが、ベレンの空港が停電しているかもしれないという疑念が生まれます。無線標識が受信できない中、空の状況は不明でしたが、管制からは254便がその空域では唯一の飛行機だと伝えられ、着陸の許可が下りました。

機長が飛行の道を誤り続けているにもかかわらず、すでに燃料が減少していたため、乗客の不安も高まります。副操縦士が誤りに気づき、航空図を再確認したものの、もはやサンタレン空港へ行くための燃料は残されておらず、再度方位を変更しました。

その後、マラバ空港と通信を試みるも、機長は別の周波数にチューニングしてしまい、再び混乱を招いてしまいました。この時点で機長は燃料の残りを把握しており、大きな空港へ向かう機会を逃したことに気づいていました。最終的には熱帯雨林に不時着することとなりました。

救助活動

墜落後、機体は分解することはありませんでしたが、衝撃で一部の乗客が犠牲となり、残りの生存者は2日後に脱出して周囲の農場に到達しました。その後、ブラジル空軍による救助が行われ、生存者全員が無事に救出されました。

生存者たちはヘリコプターで移動し、最終的に病院での治療を受けました。墜落による火災は起こらず、奇跡的に多くの乗客が生き延びることができたのです。

事故の原因とその後

事故の根本的な原因は、機長の方位設定ミスと、それに気づかない乗務員のコミュニケーション不足にありました。また、管制官の注意散漫も原因の一つとされています。この事故を受け、ヴァリグ航空はフライトプランの規則を改訂し、ブラジル全土に最新のレーダーシステムを導入することとなりました。

この事故の詳細は、メディアでも多く取り上げられ、教訓とされる出来事となりました。航空業界における事故防止のための改革につながり、同様のことが起こらないよう、様々な対策がとられることになりました。

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