ヴァルデマー4世 (デンマーク王)

ヴァルデマー4世の生涯

ヴァルデマー4世（1320年 - 1375年）は、クリストファ2世の息子として生まれ、1340年にデンマーク王に即位しました。当時のデンマークは、多大な債務を抱え、国土も著しく縮小している状態でした。彼はこの状況を打開するため、大胆な政策を実行しました。

即位後、ヴァルデマー4世はまず、エストニアをドイツ騎士団に売却しました。その資金を元手に、担保に入っていた領土を買い戻し、税制改革と軍事力強化を推し進めました。これらの施策は、デンマークの財政再建と国力回復に大きく貢献しました。また、巧みな外交戦略も駆使し、周辺国との関係を有利に進めました。その結果、彼は「アッテルダーク（再興王）」と称えられるようになりました。

彼の治世は、ヨーロッパ全土がペスト（黒死病）の猛威に見舞われた時期と重なります。このペストの流行は、多くの貴族の命を奪い、無主となった土地を増加させました。ヴァルデマー4世は、この機会を捉え、王領を拡大することに成功しました。これにより、デンマークの国土は大きく回復しました。

しかし、デンマーク王権の急速な強化は、周辺諸国からの警戒を招きました。スウェーデン、ハンザ同盟、スレースヴィヒ、ホルシュタイン、メクレンブルクなどが反デンマーク同盟を結成し、デンマークは苦境に立たされました。1370年、デンマークはハンザ同盟との間で不利な条件での和睦（シュトラルズントの和議）を余儀なくされました。しかし、この和議はデンマークの領土を失わせるものではなく、彼の時代にデンマークは失地回復を成し遂げたと言えるでしょう。

1375年、ヴァルデマー4世は55歳で亡くなりました。彼には息子がいなかったため、娘のインゲボーとマルグレーテのどちらかの息子が王位を継承することになりました。最終的に、マルグレーテがその政治手腕を発揮し、息子オーロフを王位に就かせました。マルグレーテは後に事実上の女王としてカルマル同盟を成立させたことで有名です。

子女

1340年、ヴァルデマー4世はシュレースヴィヒ公エーリク2世の娘ヘルヴィヒと結婚し、以下の3人の子をもうけました。

クリストファ（1344年 - 1363年）：ラーラント公。
インゲボー（1347年 - 1370年）：メクレンブルク＝シュヴェリーン公ハインリヒ3世と結婚。エーリク7世の祖母。
マルグレーテ（1353年 - 1412年）：ノルウェー王ホーコン6世と結婚。オーロフ2世の母。

参考文献

イェンス・オーイェ・ポールセン 『世界の教科書シリーズ38 デンマークの歴史教科書』 明石書店、2013年
百瀬宏 他 『新版世界各国史 21 北欧史』 山川出版社、1998年
Jiří Louda, Michael Maclagan, Lines of Succession, Little,Brown & Company, 1981.

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