ヴァージ (暗号通貨)

ヴァージ（Verge）とは

ヴァージ（Verge、通貨単位：XVG）は、匿名性と非中央集権を重視して設計された暗号通貨です。ビットコインのブロックチェーン技術を基盤としつつ、開発者や運営主体は無償の有志によって構成されています。サトシ・ナカモトの理念である中央集権からの脱却を目指し、通貨の大量発行やマルチアルゴリズムマイニングなどの特徴を備えています。

概要

ヴァージは、ビットコインと同様のブロックチェーン技術を採用した暗号通貨であり、その開発と運営はボランティアによって行われています。ビットコインの開発者であるサトシ・ナカモトの思想を継承し、中央集権的な管理からの脱却を目指した設計が特徴です。大量の通貨発行や、マルチアルゴリズムマイニングなどの工夫が凝らされています。特に、通常通信と匿名通信を切り替えられる独自の技術、WraithProtocolを搭載している点が大きな特徴です。2017年12月時点での流通量は21.3億ドル（約2400億円）を超え、時価総額ランキングでは19位に位置づけていました。

特徴

発行量と分散

ヴァージの最大発行量は16,555,000,000XVGと、ビットコインの2100万BTCと比較して非常に多く設定されています。これは、通貨の所有を分散させ、上位数名による寡占を防ぐ目的があります。また、ICO（Initial Coin Offering）やプリマイニングといった、開発者や運営者による事前発行は一切行われていません。運営資金はすべてボランティアや寄付によって賄われており、運営の利益を目的とした不正行為を防ぐための仕組みとなっています。

マルチアルゴリズムマイニング

ヴァージは、複数のProof-of-Workアルゴリズム（Scrypt, x17, groestl, blake2s, lyra2rev2）を採用するマルチアルゴリズムマイニングに対応しています。これにより、マイニング参加者は自分のPC環境に適したアルゴリズムを選択でき、より多くの人々がマイニングに参加しやすくなっています。このシステムは、特定のハードウェアによる寡占を防ぎ、分散型のネットワークを維持する役割を果たします。

アトミックスワップ

ヴァージは、取引所を介さずにユーザー間で直接通貨を交換できるアトミックスワップ技術の採用を公式に表明しています。これにより、取引所への依存を減らし、取引手数料の削減や迅速な取引を可能にします。

WraithProtocol

WraithProtocolは、ヴァージに搭載された独自の技術であり、通常通信と匿名通信を簡単に切り替えられることが最大の特徴です。従来のブロックチェーン技術では、暗号通貨の送受信時にIPアドレスを含む通信経路が記録されますが、匿名通信ではこの経路を隠蔽します。しかし、完全匿名通信のみでは、日常的な通貨利用には不便が生じるため、ヴァージでは通常通信も可能にしています。この切り替え機能が、ヴァージの世界的な普及に不可欠であると考えられています。

マルチアルゴリズムマイニングの意義

特定のマイニングアルゴリズムに特化したハードウェア（ASICなど）が登場すると、一般的なユーザーはマイニングへの参加が困難になります。その結果、一部の企業や個人がマイニングを独占し、ブロックチェーン技術本来の分散化という理念に反することになります。マルチアルゴリズムマイニングは、この問題を解決し、特定のアルゴリズムが寡占状態になっても、全体としてのマイニングは分散されるように設計されています。これにより、より公平で中央集権化しにくいネットワークを構築することができます。

匿名通信（完全匿名）

ヴァージは、Torとi2Pという二つの匿名化技術を組み合わせることで、高い匿名性を実現しています。他の匿名通貨（Moneroなど）はTorによって通信経路を隠蔽しますが、通信の入り口と出口は保護されていませんでした。ヴァージは、i2P技術を用いることで通信の入り口と出口の情報も隠蔽し、より完全な匿名性を実現しています。この技術は、ヴァージが世界初であるとされています。

アトミックスワップの詳細

アトミックスワップは、取引所を介さずに暗号通貨を交換できる技術です。例えば、AさんとBさんが通貨を交換する場合、Aさんは自分の通貨を「Aの箱」に入れ、Bさんも同様に「Bの箱」に入れます。それぞれの箱には、相手に教えなければ開けられない「暗証番号」付きの扉があり、さらにタイマー式の鍵が付いています。一定時間内に両方が暗証番号を解除しないと箱は開かず、期限切れになれば中身はそれぞれの持ち主に戻る仕組みです。これにより、どちらか一方が通貨を持ち逃げするリスクを排除し、安全な取引を可能にします。また、取引所を介さないことで手数料を削減し、ブロックチェーンの負荷も軽減できます。

チップ機能

ヴァージは、SNS（TelegramやTwitterなど）でチップを送ることができる機能も備えています。これは、モナコインなどの他の暗号通貨でも実装されている機能です。

著名人の支持とファン

セキュリティソフト会社マカフィーの創業者であるジョン・マカフィー氏は、ヴァージの支持者であることを公言していましたが、後に相場操作の疑いで逮捕されています。また、オーストラリアのアーティスト、Illropticによってヴァージの応援歌「I Need More XVG」が制作され、リリースされました。

公式キャラクター

有志によって作成された非公式キャラクター「バージリスク（Vergeliscus）」は、Verge Japanの公式サイトで正式な日本公式キャラクターとして承認されました。バージリスクは、ヴァージコインを手裏剣として使い、カメレオンのように姿を消せるトカゲの忍者という設定です。

グッズ展開

ヴァージのロゴやデザインはオープンソースであり、二次利用が自由です。そのため、世界中のファンが様々な非公式グッズを制作・販売しています。日本では、キーホルダー、ステッカー、マグカップなどが購入でき、LINEスタンプも販売されています。

歴史

- 2014年10月：Dogecoindarkとして開発開始
- 2016年2月：ヴァージにリブランド
- 2017年6月：ブラックペーパー発表
- 2017年8月：SNSでのチップ機能リリース
- 2017年11月：アトミックスワップ搭載バージョンリリース
- 2018年：51%攻撃を受ける
- 2018年1月：WraithProtocol搭載バージョンリリース
- 2018年4月：Pornhub|pornhubとの提携を発表

各種メディアでの紹介

ヴァージは、フランス版フォーブス誌で、OmiseGO、Stratisと共に将来有望なコインとして紹介されました。アメリカ版フォーブス誌では、1週間で8倍に上昇した銘柄として紹介され、シカゴ・トリビューン紙では、Tron、Qtum、Cardano、Monero、Iotaと共に主要な暗号通貨として取り上げられました。また、Yahoo!では2017年にビットコインを大きく上回る8,610倍の成長を遂げたとして紹介されています。

暗号通貨取引所

ヴァージは、世界中の多くの暗号通貨取引所で取引されており、2017年10月時点で15か所に上場していました。代表的な取引所として、Binance、Bittrex、HitBTCなどが挙げられます。

脚注

※この文章は、2017年時点の情報を元に作成しています。その後の情報については、公式サイトや関連情報をご確認ください。

外部リンク

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