ヴァージニア・ウルフなんかこわくない

『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』

エドワード・オールビーの戯曲『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』（原題：Who's Afraid of Virginia Woolf?）は、1962年にブロードウェイで初演され、瞬く間にアメリカ演劇の金字塔となりました。本作は、二組の夫婦を中心に、次第にエスカレートする罵り合いを通じて、夫婦の偽善的な関係を明らかにしていくストーリーです。特に、1963年のトニー賞演劇部門を受賞し、翌年にはピュリッツァー賞にも推薦されるという評価を受けました。しかし、評議委員会の保守的な態度により、この年の戯曲部門は該当作なしとなってしまいました。

あらすじ

物語は、ニュー・イングランドの大学キャンパス内にある住宅から始まります。夜中の2時、歴史学者のジョージ（46歳）とその妻マーサ（52歳）が、彼女の父が主催したパーティから帰宅します。マーサの浮かれた様子に対し、ジョージは冷静を装おうとしますが、二人の間には長年の夫婦喧嘩の影が見え隠れしています。

その後、二組目の夫婦である若い生物学者ニック（30歳）とその妻ハネー（26歳）が訪ねてきます。マーサの招待を受けての来訪でしたが、彼らとの交流の中で、ジョージとマーサの関係は徐々に露わになっていきます。ジョージとマーサは、無邪気に振る舞う若い二人を前にしながらも、あてこすりを始めるのです。ジョージは、マーサが大学長の娘でありながら自らのキャリアに満足できていないことを晒し、マーサもジョージの結婚生活への幻滅をあけすけに語ります。

このような両者の言葉の応酬は、客を巻き込んだ罵り合いへと発展し、マーサはジョージの同僚であるニックを誘惑する事態にまで至ります。嫉妬心に駆られたジョージは、ニックの妻ハネーの想像妊娠の話を暴露する始末。情勢が急変する中で、ハネーが酔って倒れると、新たな混乱が巻き起こります。

結末

続いて、マーサとニックが二人きりで階上に行ってしまった後、ジョージは一つの決定的な行動に出ます。彼は、子供のいない自分たちの秘密であった「想像上の息子」を殺したと告白するのです。この最終的な衝撃的な発表は、二人の関係がもはや修復不可能であることを意味します。最後にニックとハネーが帰った後、ジョージとマーサの間に静かな会話が交わされ、物語は幕を閉じます。

映画化と評価

1966年にはマイク・ニコルズによって映画化され、同作品ではエリザベス・テイラーが主演女優賞を獲得するなど、アカデミー賞で五部門をも制覇しました。この映画は、ハリウッド映画において初めて「Fuck」という言葉が使用された作品でもあります。また、日本でも舞台化され、多くの観客に深い感動を与え続けています。

まとめ

『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』は、言葉の力と夫婦の暗部を鋭く描き出すことで、観る者に強烈な印象を残します。この作品は、演劇史においても重要な位置を占めており、今後も語り継がれていくことでしょう。

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