ヴァールベリの無線局

グリメトン無線局：歴史と技術が息づく世界遺産

スウェーデン、ハッランド県ヴァールベリ市に位置するグリメトン無線局（Radiostationen i Grimeton、識別符号：SAQ）は、超長波（VLF）送信局として知られています。元々は「ヴァールベリの無線局」として世界遺産に登録されましたが、2014年に「ヴァールベリのグリメトン無線局」と名称が変更されました。

稼働可能な世界唯一のアレキサンダーソン式送信機

この無線局の最大の特徴は、世界で唯一稼動可能な高周波発電機式（アレキサンダーソン式）の超長波送信機を保有していることです。その巨大なアンテナは、高さ127mの自立型鉄塔6基の間にワイヤが張り巡らされており、まるで巨大な送電用鉄塔のような外観をしています。

無線局の歴史

グリメトン無線局は1922年から1924年にかけて建設されました。1950年代までは、主にアメリカ・ロングアイランドのRadio Centralとの間で大西洋横断無線電信の送信に使用されていました。その後、1950年代から1996年の間は潜水艦への送信も行われました。そのため、1968年にはトランジスタや真空管を採用した2台目の送信機が導入されました。従来の発電機式送信機の17.2kHzと同じアンテナを使用していますが、2台目の送信機は40kHz付近で設計されています。

1996年に旧式となった発電機式送信機の運用は停止されましたが、送信機の状態が良好であったため、国の史蹟として指定を受けました。現在でも、年に一度のアレキサンダーソン・デイ (Alexanderson Day) には、発電機式送信機による17.2kHzのモールス信号で特別記念局が開局されています。また、夏期には送信機を見学することもでき、アレキサンダーソン・デイには特別なイベントが開催されます。

1960年代から運用されている2代目の送信機は、現在もスウェーデン海軍によって使用されています。ただし、高価な周波数フィルタが必要となるため、アンテナを共用しての発電機式送信機との同時運用は不可能であり、特別記念局からの送信は非常に貴重な機会となっています。

多様な送信機能

グリメトン無線局は、超長波送信だけでなく、短波帯、FM放送、テレビ放送の送信も行っています。1966年には、40kHz用送信機のある建物の隣に、地上高260mの支線付マストが建設されました。

世界遺産としての価値

グリメトン無線局は、以下の世界遺産登録基準を満たし、登録されました。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

アクセス

ヴァールベリ方面からのアクセス:
ヨーロッパ道路6号線 (E6) 54番出口で降り、国道153号線をヴァーナムー (Värnamo) に向かって約5km進みます。ゲーデスタッド教会 (Gödestad) を通過したら、グリメトンに向かって右折し、約2km先の看板に従い左折。そこから1km進みます。

ストックホルム及びヴァーナムー方面からのアクセス:
ロルフストゥープ (Rolfstorp) の手前にある標識に従い、グリメトン教会に向かって左折し、約4km進みます。教会前の無線局の看板に従い、1km程右折します。

グリメトン無線局は、技術遺産としての価値だけでなく、その美しい景観も魅力です。スウェーデンを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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