ヴィオニエ

ヴィオニエ：芳醇な香りが特徴の白ブドウ品種

ヴィオニエ（仏：Viognier）は、主に白ワインの醸造に用いられるブドウ品種です。原産地のフランス・ローヌ地方を中心に、世界各地で栽培されています。その特徴は、桃や洋梨、スミレを思わせる芳醇な香り。シャルドネのようなフルボディのワインを生み出すポテンシャルを秘めつつ、独自の個性を持っています。

歴史

ヴィオニエの起源は定かではありませんが、古代ローマ時代にダルマチア（現在のクロアチア）からローヌに持ち込まれたという説があります。名前の由来も諸説あり、ローマ帝国の都市ヴィエンヌに由来するという説や、「地獄の谷への道」を意味する言葉に由来するという説もあります。

かつては一般的な品種でしたが、1965年には絶滅の危機に瀕しました。しかし、その後人気が回復し、栽培面積も増加。2004年のDNA解析では、イタリアのフレイザやネッビオーロと遺伝的に近いことが判明しています。

栽培

ヴィオニエは栽培が難しい品種として知られています。うどんこ病に弱く、収量が少ない上に、収穫時期の見極めが重要です。早すぎると香りや味わいが不十分になり、遅すぎると香りが損なわれます。長く暖かな生育期間が必要ですが、暑すぎると糖度が上がりすぎてしまいます。フランス・ローヌ北部では、ミストラルと呼ばれる風がブドウを冷やし、生育を助けています。

ワイン専門家レミントン・ノーマンは、ヴィオニエを旧世界（コンドリュー）と新世界（ラングドックなど）の2つのタイプに分類しています。樹齢もワインの品質を左右し、15～20年以上の樹齢で高品質のワインが作られるようになります。

産地

1990年代以降、ヴィオニエは世界中で栽培されるようになりました。フランス以外にも、アメリカ（カリフォルニア、バージニアなど）、オーストラリア、アルゼンチン、チリなどで栽培されています。日本では、長野県や山梨県などで栽培されています。

フランスでは、ローヌ地方のコンドリューとシャトー・グリエで、ヴィオニエ100%のワインが造られています。コート・ロティでは、赤ワインに最大20%までブレンドすることが認められています。

ワイン

ヴィオニエから造られるワインは、花やテルペンのような香りが特徴です。桃、アプリコット、マンゴー、蜂蜜などの香りが感じられることもあります。若いうちに飲むのが一般的ですが、熟成にも向くワインも存在します。酸味が少ないため、シラーなどの赤ワインにブレンドされることもあります。ブレンドすることで、色合いが安定し、香りが高まります。

ワイン造りにおいては、澄んだ果汁を得るために早朝に収穫したり、スキンコンタクトを行ったりすることがあります。マロラクティック発酵を行い、酸味を和らげることも一般的です。新世界では、バトナージュ（澱かき混ぜ）を行い、よりなめらかなワインに仕上げることもあります。

デザートワインも造られており、北半球では10月末から11月初め頃に収穫を行います。コンドリューでは、「ア・ラシエット」と呼ばれる収穫方法が用いられています。

料理との相性

香り高くフルーティーなヴィオニエは、タイ料理のようなスパイシーな料理と良く合います。その他、鶏肉料理、魚介料理、チーズなどとも相性が良いです。

ヴィオニエは、その個性的な香りと味わいで、多くの人々を魅了する白ワインです。ぜひ一度、お試しください。

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