ミストラル

ミストラルとは

ミストラルは、フランス南東部に吹く、寒冷で乾燥した北風です。アルプス山脈とセヴェンヌ山脈に挟まれたローヌ河谷やデュランス川流域で、ベンチュリ効果によって風速が増し、カマルグ周辺の地中海へと吹き降ろします。

この風は、ラングドック北東部平野からプロヴァンス、そしてトゥーロン東部にかけて広範囲に影響を及ぼします。地中海沿岸全体に影響を与え、時にはコルス島とバレアレス諸島の間の海域で、突然嵐を引き起こすこともあります。

名称の由来

ミストラルという名前は、南フランスのプロヴァンサル語に由来し、「見事な」という意味を持っています。また、隣接するイタリア北西部では、同じ種類の風がマエストラーレ（maestrale）と呼ばれています。

風の特徴

ミストラルは、常に晴天で新鮮な空気をもたらし、プロヴァンス地方の気候を形成する上で重要な役割を果たしています。特にローヌ河谷では、時速90kmに達することもあります。日中の平均速度は時速50km程度ですが、夜間には風が弱まります。

通常、冬から春にかけて吹くことが多いですが、季節を問わず発生します。風が吹く期間は、1日から2日程度で終わることもあれば、数日間、時には1週間以上続くこともあります。

生活や文化への影響

ミストラルは、地域の人々の生活や文化にも大きな影響を与えてきました。画家フィンセント・ファン・ゴッホも、アルルに滞在していた晩年に、ミストラルが強すぎてイーゼルに立てたままでは絵を描くことができなかったと、手紙の中で嘆いています。

ミストラルは、単なる風というだけでなく、南フランスの自然や文化を語る上で欠かせない存在なのです。

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