ヴィオローネ

ヴィオローネとは

ヴィオローネ（violone）は、イタリア語で「大きなヴィオール」を意味し、歴史的に様々な大きさの弓奏楽器を指す言葉として使われてきました。特にヴィオラ・ダ・ガンバ属やヴァイオリン属の楽器を指すことが多く、フレットの有無、弦の数（6本、5本、4本、3本など）、大きさなど、多様なバリエーションが存在します。現代では、ヴィオローネの「タイプ」を明確にするために、調弦（Gヴィオローネ、Dヴィオローネなど）、地域（ウィーン・ヴィオローネなど）、あるいはより正確な名称（バス・ヴァイオリン、ヴィオロンチェロ、バス・ヴァイオルなど）が用いられます。

ヴィオローネという言葉は、様々な楽器に対して使われてきたため、それらを区別するには、歴史的な楽器の知識と調弦のバリエーションへの深い理解が必要です。

ヴィオローネの用法

現代的な用法では、ヴィオローネは主にダブルバス・ヴァイオル、つまり記譜音の1オクターブ下を演奏するルネサンス、バロック、古典派時代の弓奏楽器を指します。しかし、ヴァイオリン属の楽器や、チェロサイズの楽器、アルト・テノールの音域のヴィオラ・ダ・ガンバ属の楽器も含まれます。これらの楽器を専門とする演奏家は少なく、歴史的な楽器のレプリカが使われることが多いです。

ヴィオローネの種類

歴史的にヴィオローネと呼ばれた楽器には様々な種類があります。チェロサイズの楽器で記譜音と同じピッチで演奏するもの、チェロよりも大きく1オクターブ低いピッチで演奏するものなどがあります。重要なのは、その大きさと属よりも、調律によって種類が決定されるということです。

ルネサンスからバロック時代にかけて、作曲家はどの種類のヴィオローネを使用すべきか詳細に記述していませんでした。これは、古典派における楽器の標準化（例：弦楽四重奏は2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロで演奏）とは対照的です。

2000年代以降、音楽学者や歴史学者は、作曲者が想定する楽器の種類と、演奏者に選択を委ねていた可能性を認識しています。異なるタイプの楽器を区別するために特定の名称を用いるのは現代的な方法です。弓奏楽器は、ヴァイオリン属（ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、バス）とヴィオラ・ダ・ガンバ属のように、異なる大きさの楽器がそれぞれ異なる音域を担っています。

21世紀の北米での分類では、ヴィオラ・ダ・ガンバ属は、トレブル・ヴァイオル（ソプラノ）、テナー・ヴァイオル（アルト）、バス・ヴァイオル（テノール）、グレート・バス・ヴァイオル、ヴィオローネ（バス）と分類されています。

歴史的な用法では、ヴィオローネはヴァイオリン属、ヴィオラ・ダ・ガンバ属、およびそれらの混成種を含め、テノールとバスの音域の楽器全般を指しました。20世紀までは、ヴィオローネが必ずしもコントラバスのような楽器ではないという認識がありませんでしたが、現在では、調律、属、機能によって区別されています。これにより、異なる時代や場所における作曲家の意図を明らかにすることができると考えられます。重要なのは、異なるタイプのヴィオローネはそれぞれ非常に異なる音色を持つということです。

チェロ・サイズの楽器

ヴィオラ・ダ・ガンバ属とヴァイオリン属における「テノール」を担当し、実際にはアルトからバスの音域まで演奏可能な楽器です。このカテゴリーには以下の3種類があります。

バス・ヴァイオル：6弦を持ち、Dに調弦されることが多いヴィオラ・ダ・ガンバ属の楽器。
バス・ヴァイオリン：通常4弦を持ち、チェロよりもやや大きく、ピッチも低いヴァイオリン属の楽器。各弦がチェロよりも全音低く調弦されます。
ヴィオロンチェロ（チェロ）：現代でも使用される4弦の楽器。

チェロよりもやや大きい楽器

グレート・バス・ヴァイオル：GヴィオローネやAヴィオローネとも呼ばれ、6弦を持ちAまたはGに調律されるヴィオラ・ダ・ガンバ属の楽器。8フィートと16フィートのピッチで演奏でき、独奏、室内楽、通奏低音、大規模アンサンブルなど様々な場面で用いられます。

コントラバス・サイズの楽器

このカテゴリーには多くの楽器が含まれますが、その区別は容易ではありません。

Dヴィオローネ：ヴィオラ・ダ・ガンバ属で最大の楽器で、6弦を持ち、バス・ヴァイオルの1オクターブ下のDに調律されます。
ウィーン・ヴィオローネ：フレット、ガンバシェイプ、フラットバックなど、ヴィオラ・ダ・ガンバ属の特徴を持つ折衷的な楽器で、4弦または5弦を持ち、3度と4度のDメジャーチューニングが用いられます。16フィートの楽器として使われ、17世紀から室内楽や独奏楽器としても使われました。
コントラバス（ダブル・バス）：歴史的な観点からは現代のものとはやや異なる意味合いを持つ言葉ですが、3弦または4弦を持ち、フレットがないことが多いです。現代のコントラバスに最も近い楽器であり、弦は4度（E1-A1-D2-G2）または5度（C1-G1-D2-A2）で調律されます。3弦の場合は最低弦が省略されます。

その他のタイプ

ルネサンスやバロック時代には、楽器を独自の方法で改造する奏者もいました。例えば、Eに調律されたバス・ヴァイオル、最低弦をさらに低くCにするもの、4度のコントラバス調弦でありながら最高弦が普通より4度高いものなどがあります。

歴史

ヴァイオリン属とヴィオラ・ダ・ガンバ属はほぼ同時期（1480年頃）に登場し、長い間共存してきました。ルネサンスから初期バロック時代にかけて、それぞれ異なる用途と社会階級によって使用されていました。ヴィオラ・ダ・ガンバ属は主に家庭用で教養ある人々の娯楽のために演奏され、ヴァイオリン属は社会的な楽器としてプロの音楽家によって演奏されていました。

初期のヴァイオリン属で一般的に使用された最大の楽器は、現代のチェロよりも全音低く調律されたチェロサイズの楽器でした。一方、ヴィオラ・ダ・ガンバ属の大きな楽器はより一般的で、初期から8フィートのラインを演奏していました。グレート・バス・ヴァイオル（AとGの調律）は多くの作品に記述されており、その低音域から独奏や室内楽で不可欠な存在でした。1626年には、フェラーラのパトロンの3人の娘に捧げられたヴィンチェンツォ・ボニッツィの曲集のように、女性が演奏していたこともわかっています。

1660年代にボローニャを中心に巻弦の発明が起こり、低音楽器は長い弦を使わなくても良好な低音を得られるようになりました。この頃、ヴィオロンチェロという言葉が使われ始め、「標準的」なチェロの調弦が一般化し、独奏チェロのためのレパートリーが登場し、通奏低音楽器としてのGヴィオローネやAヴィオローネに取って代わりました。チェロの普及はGおよびAヴィオローネの衰退の始まりでした。

チェロが8フィート楽器の役割を担うようになると、より大きなGヴィオローネとAヴィオローネは16フィート楽器としてチェロの1オクターブ下を演奏するようになりました。18世紀前半にはDヴィオローネの調弦が記述されるようになり、この時期には他の大きさのヴィオラ・ダ・ガンバ属はほとんど姿を消しました（バス・ヴァイオルを除く）。地域によっては、ヴィオラ・ダ・ガンバ属の最大のもの（GおよびDヴィオローネ）は、他の地域で3弦または4弦のコントラバスに置き換わった後も使われていました。これは現代のコントラバスの形状、調弦、演奏スタイルに多様性がある理由を説明しています。

用語

"violone" という言葉の使用は16世紀に始まりました。"viola" は単に弓奏楽器を指す言葉であり、ヴィオラ・ダ・ガンバ属かヴァイオリン属かを特定しません。歴史的には、"violone" は属に関係なく、大きなフィドルを指しました。ヴィオローネは近代的なコントラバスを指すこともありますが、主に古楽器を指す言葉です。オルガンのストップにも"Violone"と称するものがあり、金属製または木製のペダル部門の16フィートのストップ、まれに32フィートのストップとして使用されます。

脚注

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関連項目

ヴィオラ・ダ・ガンバ
* コントラバス

外部リンク

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