ヴィクター・ブルース (第9代エルギン伯爵)

ヴィクター・アレグザンダー・ブルースの生涯

ヴィクター・アレグザンダー・ブルース（1849年5月16日 - 1917年1月18日）は、第9代エルギン伯爵および第13代キンカーディン伯爵として知られ、イギリスの政治界で重要な地位を占めました。彼はインドの総督や植民地大臣として多くの政策を推進し、特に植民地の運営に大きな影響を及ぼしました。その背景には、厳しい政治状況や彼の施策がもたらした反発がありました。

幼少期と教育

ブルースは1849年、カナダのモントリオールで誕生しました。父は第8代エルギン伯爵のジェイムズ・ブルースであり、母は初代ダーラム伯爵の娘ルイーザでした。1863年に父が亡くなった後、ブルースはエルギン伯爵の称号を継承し、イートン校を経てオックスフォード大学で学びました。

政治キャリア

彼の政治キャリアは、グラッドストン内閣で王室会計局長官兼建設長官を務めたことから始まります。1892年には第4次グラッドストン内閣が発足し、1894年にインド総督に就任。彼の在任中、インドにおける財政難に直面し、輸入関税の導入を決定しましたが、これは多くの反対を招く結果となりました。また、彼は単に財政を立て直すだけでなく、イギリス国内の産業保護の観点から政策を展開しました。

インド国内の世論は次第に反発を強め、「イギリスの統治はインド人の利益ではなく、イギリス人の利益のためである」という認識が広がったことで、ナショナリズムが高まりました。外交面では、北西国境部族に対する拡張政策を採用しましたが、その結果、強力な反撃を受け、1895年に発生したチトラルの反乱を鎮圧するために兵力を動員しました。この反乱は多くの部族の参加を得て大規模なものとなり、反乱鎮圧費用はインドの財政をさらに悪化させました。

1896年から1897年にかけての大飢饉では、100万人以上のインド人が亡くなる事態となり、ブルースは権限を持つ立場から人権を無視した政策を次々と施行しました。これにより、彼に対する反感が強まり、さらなる反英運動を煽る結果となりました。

植民地大臣としての役割

1905年、ブルースは植民地大臣として入閣しました。彼の下で政務次官を務めたウィンストン・チャーチルは非常に目立った存在で、その影響力によりエルギン伯爵は影に隠れがちな部分もありました。しかし、エルギンはチャーチルの主張に対し、しばしば反対を表明し、その姿勢を貫きました。彼は1907年に植民地会議を主催し、自由貿易による帝国形成を目指すことを宣言しました。ただし、関税問題において自治領との合意形成は叶わず、その後の閣僚職を辞すことになりました。

晩年と家族

彼は1917年に死去しました。彼の死後、長男のエドワード・ジェイムズが爵位を継承しました。その結婚生活は二度あり、最初の妻との間には6男5女を儲け、再婚相手との間にも1男をもつなど、家族を育みました。

結論

ヴィクター・アレグザンダー・ブルースの政治的な足跡は、イギリスとインドの歴史において重要な位置を占めています。彼の政策はその時代の複雑な状況を反映しており、彼の名は現在も語り継がれています。

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