ヴィクトリアパーク (香港)

ヴィクトリア公園：香港のオアシスと歴史の証人

ヴィクトリア公園（ヴィクトリアこうえん、英: Victoria Park、中: 維多利亞公園）は、香港島の東区に位置する広大な公園です。香港島北部、銅鑼湾（コーズウェイベイ）の一角にあり、北はヴィクトリア・ハーバー、南は香港中央図書館に隣接しています。最寄りの駅はMTR港島線の天后駅です。イギリス統治時代に建設され、ヴィクトリア女王の銅像がシンボルとなっています。

歴史：埋め立てから公園へ

かつてこの地は、銅鑼湾避風塘という船の避難場所でした。1950年代に埋め立てられ、1954年8月に公園建設が開始、1957年10月に完成しました。公園の象徴であるヴィクトリア女王の銅像は、1897年に女王の即位60周年を記念して建てられました。もともとはスタチュースクエアに設置されていたものが、日本統治時代に一時撤去された後、返還され現在の場所に移されました。公園の建設は、この銅像を設置することが目的の一つでした。

公園の概要：多機能な市民の憩いの場

公園の面積は19ヘクタールで、東区最大の公園です。香港のメディアでは、面積を比較する際に「ヴィクトリアパーク○個分」という表現がよく使われます。公園には17の入り口があり、正面入り口の両脇にはサッカー場、奥にはテニスコート、プール、スケートリンク、ボウリング場、その他のスポーツ施設、ボート用プール、子供用エリア、広大な芝生広場があります。中央のテニスコートには観覧席があり、国際試合も開催されます。園内は全面禁煙です。

主な催し物と現象：文化と社会の縮図

ヴィクトリア公園は、様々な市場、展覧会、イベントの会場としても利用されています。年末年始の年宵市場、3月の香港花卉展、中秋節の綵灯晩会、12月の工展会などが開催され、これらのイベントは近年同公園で固定開催されています。

公園は、出稼ぎ労働者たちの集いの場としても利用されています。かつてはフィリピン系が多く集まっていましたが、2000年代以降はインドネシア系が増え、フィリピン系は中央広場、インドネシア系は西側に集まる傾向があります。

香港電台の討論番組『城市論壇』の収録場所でもあり、政治家や評論家が政治討論を行います。番組には「ヴィクトリアパークおじさん」と呼ばれる民主派に野次を飛ばす高齢男性グループと、それに対抗する「ヴィクトリアパーク兄さん」と呼ばれる若年男性グループが登場し、激しい議論を繰り広げます。

ヴィクトリア公園は、政治的な集会やデモの場としても利用されています。1989年の六四天安門事件以降、毎年6月4日には犠牲者を追悼する集会が開かれ、7月1日のデモや2005年の普選大遊行でも重要な集会場所となりました。2019年の逃亡犯条例改正案に反対するデモでは、この公園が出発点となりました。

外部リンク

Victoria Park - 香港政府・康楽及文化事務署（英語・中国語）

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