ヴィクトワール広場

パリ中心部の象徴、ヴィクトワール広場

パリ1区と2区にまたがるヴィクトワール広場は、その名の通り勝利を象徴する円形の広場です。パリの街の中心に位置し、近隣にはパレ・ロワイヤルなどの有名な建造物も存在します。6本の道路が放射状に広がり、中心にはルイ14世の堂々たる騎馬像が鎮座しています。その美しい景観は、訪れる人々を魅了してやみません。

誕生秘話と幾多の変遷

ヴィクトワール広場の歴史は、17世紀後半に遡ります。1678年から1689年にかけて、ルイ14世のナイメーヘンの和約締結による戦勝を記念し、既存の民家を壊して広場の建設が始まりました。著名な建築家ジュール・アルドゥアン＝マンサールが、円形広場を取り囲む壮麗な建物を設計。当初はマルタン・デジャルダン設計のルイ14世記念碑が中心に据えられました。

しかし、フランス革命の激動期である1792年、この記念碑は破壊され、代わりに革命で亡くなった市民を弔う木造ピラミッドが建てられました。皮肉にも、このピラミッドは1810年、ナポレオン1世の命令により兵士の暖房用として解体。その後、ナポレオンの将軍の銅像が設置されましたが、これも後に溶解されてしまいました。

現在のルイ14世の騎馬像は、1828年に彫刻家フランソワ＝ジョゼフ・ボジオによって制作されました。ボジオは、カルーゼル凱旋門上のクアドリガ（4頭立て馬車）の彫刻でも知られる名匠です。こうした歴史的経緯から、広場の名である「ヴィクトワール（Victoires）」は、フランス語で複数形になっています。これは、幾多の勝利と変遷を経験してきたこの広場の歴史を象徴しているかのようです。

建築と都市計画の傑作

ヴィクトワール広場は、単なる記念広場ではありません。建築と都市計画の観点からも、極めて高い価値を持つ空間です。マンサールによる洗練された建築様式は、フランス古典主義建築の粋を集めたものと言えます。円形広場を取り囲む建物は、均整のとれた美しいファサードを誇り、パリの街並みに独特の風格を与えています。また、6本の道路が放射状に広がる設計は、近代的な都市計画の先駆けと言えるでしょう。

パリの街のシンボル

今日、ヴィクトワール広場は、パリ市民にとって誇りであり、観光客にとって魅力的なスポットです。ルイ14世の騎馬像は、フランスの栄光の歴史を静かに語りかけています。広場の周囲には、カフェやブティックなどが軒を連ね、活気に満ちた雰囲気を醸し出しています。

ヴィクトワール広場は、単なる場所ではなく、パリの歴史、芸術、文化が凝縮された、まさに街のシンボルと言えるでしょう。その美しい景観と歴史的背景は、これからも人々を魅了し続け、パリの街の象徴として輝き続けることでしょう。

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