ヴィクトール・リケッティ・ド・ミラボー

ヴィクトール・リケッティ・ド・ミラボー（Victor Riquetti de Mirabeau、1715年 - 1789年）は、18世紀フランスの経済思想家であり、「人間の友」の異名を持ちます。これは、彼の代表作である『人間の友あるいは人口論』に由来します。また、彼はフランス革命初期の指導者として知られるオノーレ・ミラボーの父親であり、息子と区別するために「大ミラボー」と呼ばれることもあります。

生涯と業績

ミラボーは、名門貴族の家に生まれました。若い頃には、モンテスキューと交流があったことが知られています。彼の思想形成において重要な転機となったのは、1756年に発表された『人間の友あるいは人口論』です。この著作は大きな評判を呼び、彼を経済思想の世界で一躍有名にしました。

『人間の友』の出版後、ミラボーはフランソワ・ケネーに招かれ、ケネーの思想的影響を受けました。そして、ケネーが提唱する重農主義の普及に尽力することになります。重農主義とは、土地こそが富の源泉であると考え、農業を重視する経済思想です。ミラボーは、重農主義の普及活動の一環として、『人間の友』第6篇（1760年）を出版した際に、ケネーの『経済表』とその解説を付しました。これにより、『経済表』の内容は同時代の人々に広く知られるようになりました。

その後、ミラボーは『租税の理論』を公刊しますが、この著作が原因でヴァンセンヌ城に投獄され、後にビニョンへ流刑となります。しかし、流刑先でも彼は重農主義の研究を続け、新たな展開を準備しました。1763年には、ケネーとの共著である『農業哲学』を出版し、その第7章に「経済表」を掲載しました。この表は「略表」または「小表」と呼ばれ、「経済的統治の一般原則」が付されています。

ミラボーは、ジャン＝ジャック・ルソーとも交流があり、互いに本を贈り合ったり、貸し借りしたりしていました。この交流から、彼の思想がルソーにも影響を与えた可能性が指摘されています。

参考文献

『ルソー全集』第14巻<書簡集・下> (原好男訳、白水社、1981年)
『フランス政治経済学の生成』(木崎喜代治著、未来社、1976年)

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