ヴィサージ (音楽グループ)

ヴィサージ (Visage): ニューロマンティックの先駆者

ヴィサージは、1980年代初頭に一世を風靡したイギリスのシンセポップ・グループです。その音楽性はもちろんのこと、ファッションやヴィジュアル面でも大きな影響を与え、ニューロマンティックというムーブメントの発祥の地としても知られています。

バンドの成り立ち

中心人物は、ロンドンのナイトクラブを経営していたスティーヴ・ストレンジ。彼が主宰していたクラブ・ビリーズで開催されていたデヴィッド・ボウイ・ナイトが、ニューロマンティックの源流となりました。バンドは、ストレンジに加え、リッチ・キッズのラスティ・イーガンとミッジ・ユーロという才能が集結し結成されました。その後、ウルトラヴォックスのビリー・カーリー、マガジンのジョン・マッギオーク、デイヴ・フォーミュラ、バリー・アダムソンらが参加し、初期のラインナップが完成しました。

バンド名のヴィサージは、ヴィジュアル (Visual)、ビザ (Visa)、そして年齢 (Age) という3つの言葉を組み合わせたもので、彼らの音楽とファッションに対する姿勢を象徴しています。

デビューと成功

1980年11月、ポリドール・レコードから1stアルバム『ヴィサージ』をリリース。同時期に発表されたシングル「Fade to Grey」は、その斬新なサウンドとストレンジの独特なボーカルで、世界中で大ヒットしました。ドイツとスイスではチャート1位を獲得し、ヴィサージは一躍トップバンドの仲間入りを果たしました。

その後の活動と解散

1981年以降、メンバーのソロ活動が活発化し、バンドとしての活動は徐々に停滞。1982年には2ndアルバム『舞-ダンス-』をリリースしますが、ミッジ・ユーロがウルトラヴォックスに専念するために脱退。レコード会社との契約問題も発生し、一時活動を休止します。

1984年に活動を再開し、3rdアルバム『ビート・ボーイ』を発表しますが、商業的な成功には至らず、1985年に解散しました。

再結成とスティーヴ・ストレンジの死

2000年代に入り、スティーヴ・ストレンジはヴィサージを再始動させることを決意。様々なアーティストとのコラボレーションを経て、2013年には4枚目のアルバム『Hearts and Knives』をリリースし、ヨーロッパツアーも行いました。2014年には初の来日公演も実現しています。

しかし、2015年2月12日、スティーヴ・ストレンジが心臓発作により急逝。享年55歳でした。彼の死後、ヴィサージは事実上活動を停止しました。

影響

ヴィサージの音楽とファッションは、その後の音楽シーンに大きな影響を与えました。特に、スティーヴ・ストレンジのジェンダーを超越したスタイルは、ボーイ・ジョージやピート・バーンズといったアーティストに影響を与え、ニューロマンティックというムーブメントを象徴する存在となりました。

日本でも、SOFT BALLETの森岡賢がヴィサージからの影響を公言しており、その音楽性は今もなお多くのファンに愛されています。

ディスコグラフィー

スタジオ・アルバム

ヴィサージ - Visage (1980)
舞-ダンス- - The Anvil (1982)
ビート・ボーイ - Beat Boy (1984)
Hearts and Knives (2013)
Orchestral (2014)
Demons to Diamonds (2015)

コンピレーション・アルバム

Fade to Grey – The Singles Collection (1983)
Fade to Grey – The Singles Collection (1993)
Master Series (1998)
The Damned Don't Cry (2000)
The Face – The Very Best of Visage (2010)

関連事項

アダム&ジ・アンツ
ニューロマンティック
ウルトラヴォックス

もう一度検索