ニューロマンティック

ニューロマンティックについて

ニューロマンティック（ニュー・ロマンティックス、ニューロマンティクス）は、1970年代後半にロンドンで誕生した独特な音楽ジャンルであり、そのスタイルはニュー・ウェイヴシーンから派生しています。このムーヴメントは、デヴィッド・ボウイやロキシー・ミュージックといったグラム・ロックの影響を受け、シンセサイザーを駆使したエレクトロ・ポップの響きが特徴です。

歴史的背景

ニューロマンティックの起源は、スティーヴ・ストレンジが主宰していた「デヴィッド・ボウイ･ナイト」にさかのぼります。ストレンジのバンド、ヴィサージがこのジャンルのスタートとされ、その後デュラン・デュランやカルチャー・クラブなどが登場してきました。特にヴィサージのサウンドは、その後のバンドに多大な影響を与えました。

このムーヴメントは、1970年代末の英国パンクへの共感と反発から生まれました。パンクが先鋭さを失い、ニューウェイヴが台頭する中、若者たちは新たな表現方法を求め、スティーヴ・ストレンジとラスティ・イーガンが開催したソーホーのクラブ・ゴシップでのパーティに集まりました。このパーティは、やがてロンドンで最も人気のあるクラブイベントとなり、さまざまなスタイルを持つファッションリーダーたちが集う場となりました。

音楽とファッションの融合

ニューロマンティックの音楽は、シンセサイザーや生演奏を融合させたダンス可能なサウンドで、多様なスタイルを持っています。デヴィッド・ボウイ、イギー・ポップ、クラフトワークなどのアーティストから影響を受け、独自の音楽を形成していきました。

また、ファッションも非常に重要な要素で、ヒラヒラした中世風の衣装や派手なメイクが特徴です。1978年にオープンしたクラブ「ビリーズ」では、個性的なスタイルが入店の条件とされ、アート・スクールの学生やファッションデザイナーたちが集まる場となりました。こうして生まれた「ブリッツ・キッズ」は、独自のスタイルを持ちながら、厭世的な快楽主義を表現しました。

商業的な変化とアメリカ進出

1981年にMTVが開局すると、ニューロマンティックのバンドはこの新しいメディアを利用して急速に人気を博しましたが、これにより「商業主義的」だという批判も高まりました。音楽とファッションはメインストリームに薄められていき、1982年頃にはニューロマンティックは収束の方向へ向かっていきました。

日本におけるニューロマンティック

日本においても、1980年代にニューロマンティックの影響を受けたアーティストは存在しました。一風堂の土屋昌巳やTM NETWORK|TM_NETWORKのファッションにみられる影響がその一例です。また、吉川晃司や岡村靖幸といったアーティストにもニューロマンティックの影響が見られます。バンドブーム後には、GRASS VALLEYやLUNA SEAなどのヴィジュアル系バンドがニューロマンティックからの影響を語ることが多く見られました。

代表的なアーティスト

ニューロマンティックの代表的なアーティストには、ヴィサージ、デュラン・デュラン、カルチャー・クラブ、ウルトラヴォックス、アダム＆ジ・アンツなどが挙げられます。これらのアーティストは、音楽とファッションの独自のスタイルを持ち、多くのファンに影響を与え続けています。

ニューロマンティックは、80年代の音楽シーンに深い影響を与え、その美学やサウンドは現在も多くの新しいアーティストにインスピレーションを与えています。

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