ヴィシェグラード・グループ

ヴィシェグラード・グループ（V4）：中央ヨーロッパの協力体制

ヴィシェグラード・グループ（Visegrad Group、略称V4）は、[チェコ]]、ハンガリー、ポーランド、スロバキアの4か国からなる地域協力機構です。1991年2月15日、ハンガリーのヴィシェグラードで首脳会議が開かれ、チェコスロバキア、ハンガリー、ポーランドの3か国によって設立されました。伝統や文化的な繋がりを背景に、友好関係の増進やヨーロッパ統合への貢献を目的としています。1993年のチェコスロバキアの「ビロード離婚」後も、チェコとスロバキアはV4に加盟し続け、2004年には4か国揃って[[欧州連合]に加盟しました。NATO加盟国であり、ブカレスト9にも参加しています。

歴史的背景：中世からの繋がり

V4の名前の由来は、1335年にヴィシェグラードで行われたハンガリー王カーロイ1世、ポーランド王カジミェシュ3世、ボヘミア王ヨハンによる会議に遡ります。この会議では、ウィーンの特権港を迂回する新しい商業ルートの開拓が合意されました。「グループ」の形成というわけではないものの、1339年にはポーランド王位継承に関する取り決めも交わされています。

その後、ヤギェウォ朝の台頭により、ポーランド、リトアニア、ボヘミア、ハンガリーは、複雑な王朝連合を形成する時代もありました。16世紀後半には、ポーランド・リトアニア共和国が成立し、ポーランド、リトアニア、そして周辺諸国間の政治的交流は活発に行われていました。ただし、この時代、ボヘミアはハプスブルク家の支配下にありました。こうした歴史的繋がりは、現代のV4諸国間の協力関係の土台となっています。

経済：安定した経済基盤

ハンガリーを除くポーランド、チェコ、スロバキアの3か国は、経済規模に対する対外債務総額が小さく、外貨準備に対する短期対外債務の割合も低いなど、経済基盤が堅固です。2008年の世界金融危機においても、比較的安定した状況を維持しました。特にポーランドは、人口が多く内需が強いため、世界的な不況の影響を比較的受けにくく、2009年にはヨーロッパ諸国の中で唯一、プラス成長を達成しました。

議長国と活動：国際協力の推進

V4の議長国は、チェコ、ポーランド、ハンガリー、スロバキアの順で毎年6月に交代します。

具体的な活動としては、1999年に設立された国際ヴィシェグラード基金があります。本部はブラチスラヴァに置かれ、各国首相の決定により年間300万ユーロの予算が配分されています。基金は、ヴィシェグラード奨学金プログラムを通して、4か国の大学院生への奨学金を支給し、規模を拡大しています。

また、エネルギーに関する専門家会合も開催され、各国のエネルギー政策に関する協力が図られています。2004年のEU加盟後、一時的に活動が停滞しましたが、近年は経済や安全保障分野におけるEU内での協力の重要性が見直され、再び活発化しています。今では「小EU」とも呼ばれるほど、密接な関係を築いています。

日本との関係：多方面での協力

日本とV4との間では、「V4＋日本」対話・協力が推進されています。2003年以降、首脳・外相会合が開催されるなど、関係強化が進んでいます。観光、経済・投資促進、経済協力などの分野において、協力関係が拡大しています。2013年には安倍首相がワルシャワを訪問し、「V4＋日本」首脳会合が開催されるなど、両者の関係はますます深まっています。

まとめ

ヴィシェグラード・グループは、歴史的背景と経済的安定性を基盤に、EU加盟国としての連携を強め、国際社会において重要な役割を果たしています。日本との協力関係も深まり、今後もその活動は注目を集めるでしょう。

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