ヴィットリオ・グリゴーロ

ヴィットリオ・グリゴーロ（Vittorio Grigolo、1977年2月19日 - ）は、イタリア生まれのテノール歌手です。その才能は幼少の頃から際立っており、数々の著名なオペラハウスで主役を演じてきました。

幼少期と音楽との出会い

グリゴーロはイタリアのアレッツォで生まれ、ローマで育ちました。9歳の時、彼はシスティーナ礼拝堂の聖歌隊に入隊し、5年間にわたり音楽教育を受けました。この入隊には、あるエピソードがあります。母親の目の検査に付き添った際、別の部屋から聞こえてきた歌声に惹かれ、その部屋に入って一緒に「アヴェ・マリア」を歌い出したのです。歌っていた神父は彼の才能に気づき、システィーナ礼拝堂の聖歌隊のオーディションを受けるように勧めました。この偶然の出会いが、彼の音楽家としての道を切り開いたと言えるでしょう。

13歳の時には、ローマのオペラハウスでプッチーニの「トスカ」に出演し、羊飼いの少年役を演じました。この時、カヴァラドッシ役を務めていたのは、伝説的なテノール歌手ルチアーノ・パヴァロッティでした。その才能を認められ、パヴァロッティにちなんで「イル・パヴァロッティーノ（小さなパヴァロッティ）」と呼ばれるようになりました。

国際的な活躍

18歳でウィーン・オペラ・カンパニーに加入し、研鑽を積みました。そして、23歳という若さで、スカラ座に出演した最も若いテノール歌手として記録を更新しました。これは彼の才能がいかに早くから開花していたかを物語っています。

2019年、ロイヤル・オペラ・ハウス来日公演において、「ファウスト」の題名役で出演しました。しかし、9月18日の3回目の上演のカーテンコール時に、共演ダンサーのはりぼての腹部に触れたことがきっかけで、共演者との間にトラブルが発生しました。一部メディアではセクハラ行為として報道されましたが、正確ではありません。この騒動を受けて、彼は22日の4回目の上演を降板し、帰国することとなりました。その後、ロイヤル・オペラの独立調査により、「グリゴーロ氏によるカーテンコールとその後の不適切で攻撃的な態度は、我々がスタッフおよび出演者に求める水準を下回った」とされました。しかし、詳しい経緯は明らかにされていません。この事件の影響で、ロイヤル・オペラ・ハウスのその後の公演への出演はキャンセルとなり、メトロポリタン歌劇場でも出演予定がキャンセルされました。

ディスコグラフィー

In the Hands of Love (2006)
West Side Story (2007)
The Italian Tenor (2010)
Arrivederci (2011)
Ave Maria (2013)
The Romantic Hero (2014)

映像作品

'Cassio' in Verdi Otello Gran Teatre del Liceu Barcelona (2006)
'Il Duca de Mantova' in Verdi Rigoletto Performed live on location in Mantua (2010)

グリゴーロは、その美しい歌声とカリスマ性で、世界中のオペラファンを魅了してきました。今後の活躍が期待される一方、過去の騒動を乗り越え、更なる高みを目指してほしいと願うファンも少なくありません。

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