ヴィットリオ・ストラーロ

ヴィットリオ・ストラーロ

ヴィットリオ・ストラーロ（Vittorio Storaro）は、1940年6月24日、イタリア・ローマで生まれた著名な映画キャメラマンおよび撮影監督です。彼のキャリアは、映画撮影の独特のスタイルと技術を築くきっかけとなった家庭環境からスタートしました。ストラーロの父親は映写技師であり、彼はこの影響を受けて、若き日から映画に興味を抱くようになりました。

ストラーロは十代でイタリアの国立映画学校に入学し、映画撮影の基礎を学びました。卒業後はキャメラ・オペレーターとしてのキャリアを築きながら、舞台照明の仕事にも取り組みました。1964年、彼はベルナルド・ベルトルッチとの出会いを果たし、彼との親密な関係はその後の作品において大きな影響を与えることになります。彼らのコンビは数多くの名作を生み出し、特に1970年に発表された『暗殺の森』は、彼の才覚を世に知らしめる重要な作品となりました。この映画は、鮮やかな色彩感覚と独自の撮影スタイルにより、ストラーロの名前を広めました。

その後のストラーロは、『ラストタンゴ・イン・パリ』や『1900年』など、ベルトルッチと共に数々の傑作を制作し、70年代後半にはアメリカ映画界にも進出。フランシス・フォード・コッポラ監督の『地獄の黙示録』や、ウォーレン・ベイティ監督の『レッズ』、再びベルトルッチと組んだ『ラストエンペラー』などでアカデミー撮影賞を三度も受賞しました。これにより、彼は米国でも一流のキャメラマンとして知られるようになりました。

ストラーロは「光で書く」（Writing with Light）や「色は象徴である」という自らの哲学を持ち、映画撮影における照明の重要性を強調しています。彼の独自のアプローチと圧倒的な色彩感覚は、映像表現に革新をもたらし、多くの後進のカメラマンに影響を与えています。さらに、カンヌ映画祭の審査委員や照明デザイナーとしても積極的に活動し、映画撮影技術の発展にも寄与しています。

近年では、彼はスペインの監督カルロス・サウラとのコラボレーションが多く、彼らの共同作品は高く評価されています。ストラーロは独自の映像フォーマットであるUnivisium（アスペクト比2:1、3パーフォレーション）を提唱し、いくつかの作品はこのフォーマットに沿った形でDVDが再発売されています。

2003年、国際撮影監督協会（ICG）は映画撮影史上最も影響を与えた人物の一人として、ストラーロを他の巨星たちと並べて選出しました。彼の作品は今なお多くの人々に感動を与え続けており、映画界における重要な役割を果たしています。

主な作品

• - 歓びの毒牙 (L'Uccello dalle piume di cristallo, 1969)
• - 暗殺のオペラ (Strategia del ragno, 1969)
• - 暗殺の森 (Il Conformista, 1970)
• - ラストタンゴ・イン・パリ (Ultimo tango a Parigi, 1972)
• - 地獄の黙示録 (Apocalypse Now, 1979)
• - ラストエンペラー (The Last Emperor, 1987)

受賞歴

• - 1979年、アカデミー賞（撮影賞）『地獄の黙示録』
• - 1981年、アカデミー賞およびロサンゼルス映画批評家協会賞（撮影賞）『レッズ』
• - 1987年、アカデミー賞およびニューヨーク映画批評家協会賞（撮影賞）『ラストエンペラー』

ヴィットリオ・ストラーロの作品は、映像芸術に新しい地平を切り拓いており、彼の独特な視点は今後も多くの作品に受け継がれていくことでしょう。

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