ヴィディヤーダラ

ヴィディヤーダラ（Vidyadhara）は、インドの文学に登場する比較的新しい半神族です。その特徴は、卓越した神通力と、自由自在に空を飛ぶ能力を持つことです。ヴィディヤーダラは、古代インドの叙事詩『マハーバーラタ』にもその名を見ることができますが、一般的には、『ブリハット・カター』の著者であるグナーディヤによって広く知られるようになったと考えられています。

ヴィディヤーダラは、『カター・サリット・サーガラ』や『屍鬼二十五話』といった物語の中で、重要な役割を担っています。例えば、『カター・サリット・サーガラ』では、ジームータケートゥ王の王子であるジームータヴァーハナが登場します。彼はヴィディヤーダラ族の中でも特別な存在であり、転輪聖王、すなわち理想的な王であると同時に、菩薩の化身であるとされています。彼の物語は、『カター・サリット・サーガラ』の中で、前世からの因縁とともに語られています。

また、『カター・サリット・サーガラ』の主人公であるナラヴァーハナダッタや、『屍鬼二十五話』の主人公であるトリヴィクラマセーナ王は、物語の結末においてヴィディヤーダラの王となるという展開を迎えます。これは、彼らが物語の中で様々な試練を乗り越え、英雄としての資質を示したことの証と言えるでしょう。

ヴィディヤーダラは、単なる伝説上の存在ではなく、インドの文学や文化において、重要な意味を持つ存在です。彼らは、超越的な力を持つ存在として、人々に畏敬の念を抱かせると同時に、理想的な王や英雄の象徴として、人々の希望を体現する存在として、物語の中で生き続けています。

関連語句:

マハーバーラタ：古代インドの叙事詩。
シッダ：『マハーバーラタ』にも登場する神々の総称。修行によって神通力を得た人間を指す場合もある。

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