ヴィトルト・ルトスワフスキ国際作曲コンクール

ヴィトルト・ルトスワフスキ国際作曲コンクール

ヴィトルト・ルトスワフスキ国際作曲コンクールは、ポーランドで開催される権威ある国際的な作曲コンクールです。その歴史は作曲家ヴィトルト・ルトスワフスキ自身の深い関与から始まり、幾度かの変遷を経て現在に至っています。

コンクールが始まった当初は、「ヴィトルト・ルトスワフスキ国際作曲コンクール（Witold Lutoslawski International Composers' Competition）」という名称であり、ルトスワフスキ自身が審査委員長を務めていました。この時期の基本的な形式は、まず楽譜による厳正な審査で順位を決定し、翌年に受賞者をポーランドに招いて作品を演奏するというものでした。特に1995年度のコンクールは、応募作品が200件を超えるというかつてないほどの多数に上り、史上最も競争が激しい回となりました。

しかしながら、ルトスワフスキが1994年に亡くなった後、コンクールは新たな局面を迎えます。審査委員長が代わる中で審査の質にばらつきが生じ、その評価が芳しくなくなったことが原因で、2003年には一時的にコンクールは中断されることとなりました。

約1年の中断期間を経て、コンクールは2004年から新たなスポンサーの支援と審査体制の立て直しを図った上で活動を再開しました。この再開にあたり、コンクールの規約には大きな変更が加えられました。それまでのオーケストラ作品を主な対象としていた募集内容を改め、規模の大きな室内楽曲を募集する形へと移行しました。また、コンクール名称も「Witold Lutoslawski Award」に開催年が付加される形式に変更され、「Witold Lutoslawski Award 2005」のように称されるようになりました。再開後も、ルトスワフスキ財団は規定上、審査員の依頼のみを行う立場であったため、必ずしも依頼を受けた音楽家が審査を引き受けるとは限らないという状況もありました。しかし、この期間には特筆すべき出来事として、2007年と2008年にウィーンを拠点に活動する日本人作曲家、森本恭正氏が日本人として初めて審査員として招聘され参加しています。

2012年度には、ルトスワフスキ生誕100年という記念の年にあたり、コンクールの名称が再び「ルトスワフスキ国際作曲コンクール」として復活しました。この復活に伴い、募集対象も再びオーケストラ作品の新作へと戻されました。ただし、この時の国際審査員の顔ぶれは、それまでのコンクールとはかなり異なるものとなりました。2013年にはこの記念コンクールの結果が発表され、アルバニア出身の作曲家トマ・シマク氏がオーケストラのための協奏曲で優勝を飾りました。この優勝作品は、ポーランドの主要な音楽祭であるワルシャワの秋にて初演される予定となっています。

この国際作曲コンクールの他にも、「ルトスワフスキ国際チェロコンクール」や「ルトスワフスキ国際指揮コンクール」といった、ルトスワフスキの名を冠した比較的小規模ながら国際的なコンクールも存在します。

過去の受賞者には、以下のような方がいます。

主な過去の受賞者：

1993年（第二回）：江村哲二
1995年（第三回）：該当者なし（第2位にピエール・ミシェル・ベダール、オレクサンダ・シチェティンスキィが同点）
1999年（第四回）：ランス・リチャード・ハルム
2001年（第五回）：ヴァレリー・ヴォロノフ
2004年：マリオス・ヨアンノー・エリア
2005年：シーン・ベンジャミン・シェパード、タズル・イザン・タジュッディン（同点）
2007年：中島牧、カルロ・アレッサンドロ・ランディーニ（同点）
2008年：ファン・デ・ディオス・マグダレーノ（史上最年少記録）
* 2013年：トマ・シマク

（注：第一回から第六回までは公開演奏日、2004年以降は楽譜審査発表日を基準としています。）

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