マリオス・ヨアンノー・エリア

マリオス・ヨアンノー・エリア（Marios Joannou Elia）は、1978年にキプロスで生まれた現代音楽の作曲家であり、詩人としても活動しています。現在はオーストリアのウィーンを拠点に創作活動を行っています。

彼の音楽教育はザルツブルクのモーツァルテウム音楽大学で始まり、そこでボグスワフ・シェッフェルやアドリアナ・ヘルツキーらに作曲を学びました。特にヘルツキーからは深く学び、後にその助手を務めるほどでした。さらに、バーゼルではクラウス・フーバーの指導も仰ぎ、イギリスのサウサンプトン大学ではマイケル・フィニスィーに師事して博士課程を修了しています。これらの多岐にわたる学びの経験が、彼のユニークな音楽性の基盤となっています。

マリオス・ヨアンノー・エリアは、そのキャリアを通じて権威ある作曲賞を数多く受賞しており、ルトスワフスキ国際作曲賞やセロツキ国際作曲賞をはじめ、大小合わせて30以上（資料によっては60とも）に及びます。これらの受賞歴が示すように、彼の作品は国際的に高く評価されており、北半球のほぼ全域にわたって演奏・紹介されています。特に、日本の京都での長期間の滞在経験は、彼の創作活動に影響を与えた可能性があります。

彼の作風の最大の特徴は、その卓越した劇作・詩作の才能が音楽に反映されている点にあります。彼は特に小編成のオペラ作品を数多く手がけており、物語性と音楽の融合を追求しています。彼の音楽語法は極めて密度が高く、短時間のうちに多様な素材が次々と現れることが特徴です。例えば、弦楽三重奏曲《苺とグレープ》のように、譜面のページをめくるごとに音楽の様相が劇的に変化する箇所も少なくありません。楽譜の作成には、コンピュータによる浄書と手書きを柔軟に使い分けていますが、非伝統的な奏法が多く含まれる場合は、細やかな指示を書き込むために手書きを優先する傾向があります。演奏者への指示や解説を示す注釈が、他の作曲家と比較して多いことも彼の楽譜の特徴の一つです。

古典音楽からの引用もしばしば見られますが、リズムや音程、音色などの音楽的パラメータが精緻に変換されているため、注意深く聞いてもその原形を認識することは難しいとされています。また、伝統的な楽器や声楽だけでなく、非専門家や非音楽的な素材を積極的に作品に取り入れる姿勢も見られます。近年発表されたある作品では、実際に2台のハーレー・ダビッドソンが演奏に参加したことで話題となりました。初期の複雑な楽譜記述とは対照的に、近年の作品にはより単純な拍子構造やリズムを用いる傾向が見られる一方で、聴衆の予想を裏切るような大胆で破天荒な楽曲構成や、演奏家への高度な要求、時には挑発的とも取れるような指示といった、彼の音楽の根幹をなす要素は失われていません。

マリオス・ヨアンノー・エリアは精力的な創作活動を続けており、現在も世界各地でその作品が紹介されています。

主要作品：
i have seen you tomorrow for 5 players
tessera tzai tessera for 2 recorders & 3 contrabasses
strawberries&grapes for string trio
cicada for piano solo

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