ヴィラン (曲)

「ヴィラン」は、ボカロPてにをはによって制作された楽曲で、2020年2月7日にYouTubeとニコニコ動画で公開されました。ボーカロイドのv_flowerを起用したこの楽曲は、電子的なビートとオルタナティブロック調のギターサウンドが特徴的で、サビで際立つスネアドラムが印象的なナンバーです。

歌詞は、トランスジェンダーの主人公が抱える恋愛などの苦悩を赤裸々に描いており、聴く者の心を深く揺さぶります。てにをはの楽曲の特徴でもある、韻を踏んだ表現や言葉遊びが随所に散りばめられており、特にサビでは「Villain Villain」「Dr. Duran Duran」「ヴィラン」「糜爛」といった脚韻や、「ヴィラン」の発音に巻き舌を使うなど、遊び心と中毒性の高い仕掛けが満載です。

公開後、「ヴィラン」は瞬く間に人気を集め、YouTubeでは公開からわずか5日で10万再生、約2ヶ月で100万再生を突破。ニコニコ動画でも公開から12日で殿堂入りを果たし、約7ヶ月後には100万再生を達成しました。これは、てにをはの代表作である「女学生探偵シリーズ」を超える大ヒットとなりました。2020年2月29日には各種音楽ストリーミングサービスでの配信も開始され、同年3月21日にはJOYSOUNDでカラオケ配信もスタート。2020年発売曲のカラオケ総合ランキングで8位にランクインするなど、その人気は留まるところを知りません。

「ヴィラン」は、Spotifyのバイラルチャート（日本）年間ランキングプレイリストで29位にランクイン（2020年）したほか、Billboard JAPAN Top User Generated Songsでは週間14位（2021年3月3日付）を獲得するなど、チャート成績も好調です。

ミュージックビデオは、ねここが手掛けたイラストが使用されており、少年と信号機のイラストが印象的です。動画内で表示される歌詞は、てにをはが手書きしたもので、flower版では「論者」が「諭者」と誤字がありましたが、セルフカバー版で修正されています。

また、「ヴィラン」は漫画化もされており、ふじたが漫画を、ねここがキャラクターデザインを担当し、一迅プラスで連載されています。

さらに、メディア露出も多く、NHKの『沼にハマってきいてみた』では、めいちゃんによるカバー曲に合わせ、踊り手のいりぽん先生が踊る様子が放送されました。また、『バズリズム02』では、「過激な歌詞のボカロ曲」の一つとして紹介され、『夜光音楽ボカロP5min.』では、番組のためにリアレンジされた「ヴィラン夜光音楽バージョン」が披露されました。2024年にはNHK ETV『虹クロ』で、「LGBTQ+の10代が心に響いた音楽」の投票結果で1位に選ばれるなど、多様な層に支持されています。

多くのアーティストによるカバーもされており、小林私、しゅーず、宮下遊、めいちゃん、yuina、ASCA、Gero、Adoなど、様々なジャンルのアーティストが「ヴィラン」をカバーしています。てにをは自身によるセルフカバーも制作されています。

ゲームへの収録も数多く、Nintendo Switch版『グルーヴコースター ワイワイパーティー!!!!』やアーケード版『グルーヴコースター』、『チュウニズム』、『テトテ×コネクト』、『プロジェクトセカイ カラフルステージ！ feat. 初音ミク』、『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』など、幅広いプラットフォームで「ヴィラン」を楽しむことができます。

「ヴィラン」は、その音楽的な魅力だけでなく、歌詞に込められたメッセージ性や、多様なメディア展開によって、多くの人々に愛される楽曲となっています。

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