ヴィルヘルム・フォン・バーデン (1829-1897)

ルートヴィヒ・ヴィルヘルム・フォン・バーデン：軍人、政治家としての生涯

ルートヴィヒ・ヴィルヘルム・アウグスト・フォン・バーデン（1829年12月18日 - 1897年4月27日）は、バーデン大公レオポルトとソフィア・ヴィルヘルミナ妃の四男としてカールスルーエに生まれました。彼はバーデン大公国の大公子であると同時に、プロイセンの将軍、そして政治家としても重要な役割を果たしました。特に、最後のドイツ帝国宰相を務めたマックス・フォン・バーデンの父としても知られています。

軍人としてのキャリア

ヴィルヘルムは、早くから軍人の道に進み、ドイツ連邦軍バーデン分遣隊に入隊。1847年には少尉、1849年には中尉に昇進しました。その後、プロイセン軍に移り、第1近衛歩兵連隊に中尉として所属。1856年には砲兵連隊の少佐となり、最終的には少将として近衛砲兵旅団長を務めました。1863年、結婚を機に陸軍中将でプロイセン軍を退役しています。

普墺戦争とバーデン師団

1866年の普墺戦争勃発時、ヴィルヘルムはオーストリア帝国側のドイツ連邦軍第8連邦軍団バーデン師団の司令官として指揮を執りました。しかし、戦争の趨勢はプロイセン側に有利に進み、同年7月30日、ヴィルヘルムはマルクトハイデンフェルトのプロイセン司令部に停戦を求める手紙と軍旗を送りました。この手紙の中で、彼は父であるレオポルト大公がプロイセン王ヴィルヘルム1世との直接和平交渉を望んでいることを伝え、バーデン師団の兵士たちの安全な帰還を要請しました。この出来事をきっかけに、バーデン師団は崩壊へと向かいました。

戦後、ヴィルヘルムはプロイセン軍のシステムに倣い、バーデン軍の軍制改革に取り組みました。彼は南ドイツ諸国の王族の中で、南北ドイツの融和を推進する数少ない人物の一人でした。1868年にはバーデン軍の司令官を辞任しています。

普仏戦争での活躍

1870年に始まった普仏戦争では、ヴィルヘルムは第1バーデン旅団を指揮し、1870年10月30日からはディジョンをめぐる激しい攻防戦を指揮しました。ニュイ＝サン＝ジョルジュでは頬に銃創を負うほどの激戦を経験しています。

その後の活動と晩年

1895年、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は、ニュイ＝サン＝ジョルジュの戦い25周年を記念して、ヴィルヘルムを親衛隊の名誉司令官に任命しました。また、プロイセン王国最高の軍事勲章であるプール・ル・メリット勲章も授与されました。ヴィルヘルムは若い頃からバーデン大公国の貴族院議員を務め、1871年から1873年にかけては自由保守党所属のドイツ帝国議会議員も務めました。1897年、67歳で亡くなり、カールスルーエの大公家地下礼拝堂に埋葬されました。

家族

1863年2月11日、サンクトペテルブルクにおいて、ロイヒテンベルク公マクシミリアン・ド・ボアルネとロシア大公女マリヤ・ニコラエヴナの娘マリア・マクシミリアノヴナ・ロマノフスカヤと結婚。妻マリアとの間には1男1女をもうけました。

マリー（1865年 - 1939年）：1899年、アンハルト公フリードリヒ2世と結婚
マクシミリアン（マックス）（1867年 - 1929年）：ドイツ帝国宰相、バーデン大公家家長

ルートヴィヒ・ヴィルヘルム・フォン・バーデンは、軍人として、政治家として、そして家族の一員として、激動の時代を生き抜いた人物でした。

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