ヴィルヘルム4世 (バイエルン公)

ヴィルヘルム4世：バイエルン公、激動の時代を生きた君主

ヴィルヘルム4世（1493年11月13日 - 1550年3月7日）は、16世紀のバイエルン公であり、その治世（1508年 - 1550年）は、宗教改革、農民戦争、そしてハプスブルク家との対立など、ヨーロッパ全体が大きく変動する時代でした。彼は、バイエルンの安定と繁栄を目指し、内政・外交の両面で重要な役割を果たしました。

生涯：共同統治から単独統治へ

ヴィルヘルム4世は、アルブレヒト4世とクニグンデ・フォン・エスターライヒの長男として生まれました。父アルブレヒト4世は、長子相続制を定め、ヴィルヘルム4世が単独で後を継ぐことを望んでいました。しかし、1508年にアルブレヒト4世が亡くなると、弟のルートヴィヒ10世が共同統治を主張し、1516年にランツフートとシュトラウビングを共同統治領とすることで合意しました。

宗教改革への対応と農民戦争

当初、ヴィルヘルム4世は宗教改革に理解を示していましたが、後にカトリックへと転向し、ザルツブルク大司教と協力してドイツ農民戦争を鎮圧しました。この決断は、バイエルンをカトリックの牙城として維持し、その後の歴史に大きな影響を与えることになります。

ハプスブルク家との対立と和睦

また、ヴィルヘルム4世はボヘミア王位を主張し、ハプスブルク家と対立しましたが、1534年にフェルディナント1世とリンツで和睦しました。これにより、バイエルンはハプスブルク家の勢力圏の中で一定の地位を保ち、外交的な安定を得ることができました。

単独統治とシュマルカルデン戦争

1545年にルートヴィヒ10世が亡くなると、ヴィルヘルム4世は改めてバイエルンを単独で統治することになりました。その後、シュマルカルデン戦争では、カール5世（フェルディナント1世の兄）の下で戦い、神聖ローマ帝国の勢力均衡に貢献しました。

ビール純粋令の制定

ヴィルヘルム4世の業績として特筆すべきは、1516年に制定されたビール純粋令です。これは、ビールの品質向上と、小麦やライ麦の使用制限を目的としたもので、現在もドイツで存続する世界最古の食品関連法の一つです。この法律は、バイエルンビールが世界的に評価される礎となりました。

家族

1522年、バーデン辺境伯フィリップ1世の娘マリア・ヤコベアと結婚し、以下の子をもうけました。

テオドール（1526年 - 1534年）
アルブレヒト5世（1528年 - 1579年）
ヴィルヘルム（1529年 - 1530年）
メヒティルト（1532年 - 1565年） - バーデン＝バーデン辺境伯フィリベルトと結婚

ヴィルヘルム4世は、激動の時代においてバイエルンの舵を取り、その領土と文化を守り抜いた君主として、歴史に名を刻んでいます。

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