ヴィルヘルム5世 (バイエルン公)

ヴィルヘルム5世（1548年9月29日 - 1626年2月7日）は、バイエルン公として1579年から1597年まで統治しました。父はアルブレヒト5世、母は神聖ローマ皇帝フェルディナント1世の娘アンナです。

生涯

ヴィルヘルム5世は、バイエルン公として、当時の宗教的対立の中で重要な役割を果たしました。1583年、弟のエルンストをケルン大司教（選帝侯）に選出させることに成功しました。しかし、プロテスタントに改宗した前任の選帝侯ゲプハルト・トゥルホゼス・フォン・ヴァルトブルクが、オランダなどのプロテスタント勢力の支援を受けて反乱を起こしました。ヴィルヘルム5世は、弟エルンストを支援し、ゲプハルトを追放することに成功しました。1588年にはエルンストの選帝侯位を確固たるものとしました。この結果、ケルン選帝侯は事実上、ヴィッテルスバッハ家の世襲となりました。

幼少期からイエズス会の教育を受けたヴィルヘルム5世は、バイエルンにおける対抗宗教改革を積極的に推進しました。カトリック系の大学や聖ミヒャエル教会が設立されたのもこの時期です。しかし、これらの事業はバイエルンの財政を大きく圧迫しました。この状況を危惧した息子のマクシミリアンによって、1597年に退位させられました。退位後は信仰生活に専念しました。

子女

1568年、ロレーヌ公フランソワ1世の娘レナータと結婚し、10人の子供をもうけました。

1. クリストフ（1570年、夭折）
2. クリストフ（1572年 - 1580年）
3. マクシミリアン1世（1573年 - 1651年） - バイエルン選帝侯
4. マリア・アンナ（1574年 - 1616年） - 神聖ローマ皇帝フェルディナント2世の最初の妃
5. フィリップ・ヴィルヘルム（1576年 - 1598年） - レーゲンスブルク大司教、枢機卿
6. フェルディナント（1577年 - 1650年） - ケルン大司教（選帝侯）
7. エレオノーレ・マグダレーネ（1579年 - 1580年）
8. カール（1580年 - 1587年）
9. アルブレヒト6世（1584年 - 1666年） - バイエルン＝ロイヒテンベルク公　
10. マグダレーネ（1587年 - 1628年） - プファルツ＝ノイブルク公ヴォルフガング・ヴィルヘルムと結婚

ヴィルヘルム5世の治世は、宗教改革という激動の時代におけるカトリックの擁護と、ヴィッテルスバッハ家の権力拡大という二つの側面を持っていました。しかし、その政策は財政難を招き、最終的には息子による退位という形で終わりを迎えました。彼の遺産は、その後のバイエルンの歴史に大きな影響を与えることとなりました。

参考文献

Thomas, Andrew L. (2010). A House Divided: Wittelsbach Confessional Court Cultures in the Holy Roman, c.1550-1650. Brill
Sigmund von Riezler (1898). "Wilhelm V., der Fromme, Herzog von Baiern". Allgemeine Deutsche Biographie (ドイツ語). Vol. 43. Leipzig: Duncker & Humblot. pp. 88–90.

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