ヴォイチェフ・メンチンスキー

ヴォイチェフ・メンチンスキーの生涯

ヴォイチェフ・メンチンスキー（Wojciech Męciński）は、1598年にポーランドのオスモリスで、貴族の家庭に生まれました。彼は、カトリックの司祭であり、イエズス会士として活動しました。メンチンスキーは、ポーランド人として初めて日本に到達した人物の一人として知られています。彼の生涯は、信仰に深く根ざした冒険と献身の物語です。

初期の教育とイエズス会入会

メンチンスキーは、ルブリンの学校を卒業後、当初はイエズス会に入会することを希望していました。しかし、家族の説得を受け、1613年からヤギェウォ大学で学び続けました。その後、彼は再びイエズス会への入会を決意し、1621年4月15日にローマでイエズス会修練院に入りました。この時期に、彼は日本での宣教活動に強い関心を抱くようになったとされています。

司祭叙階と宣教への準備

1626年、メンチンスキーはポルトガルのエヴォラ市で神学の研究を終え、1628年に司祭に叙階されました。しかし、1629年には、彼がイエズス会大学に寄付した財産の返還を求める親族の訴えにより、急遽ポーランドへ帰国せざるを得なくなりました。ピョートルクフ・トルィブナルスキの王冠裁判所は、この訴えを退けました。

インド、東南アジアでの活動

1631年、メンチンスキーはインドへ向けて出発しましたが、悪天候のためポーランドに引き返すことになりました。1633年に再びインドへ出発し、ゴアに到着。そこで彼は、貧しい人々のための病院での慈善活動に専念しました。1634年にはコチンチン（現在のベトナム）に渡り、約1年間滞在しました。1635年にはマラッカへ赴き、病気の兵士たちの治療に当たりました。

日本への試みとフォルモサでの拘束

1636年、メンチンスキーはマカオから日本へ渡ろうと試みましたが、乗船していた船がオランダ人に乗っ取られ、フォルモサ（台湾）へ連行されてしまいました。航海中、彼は囚人や知事の息子を治療したことで、フォルモサでの滞在条件が改善されました。1637年、囚人をバタビア（ジャワ）へ輸送中にオランダ船から脱出し、マカオへ帰還しました。

カンボジアでの活動

その後、マカオのイエズス会検査官は、メンチンスキーをカンボジアへ派遣しました。そこで彼は要職に就き、支配者からの尊敬を得ました。カンボジアでの活動は、彼の宣教活動における重要な局面の一つとなりました。

日本での殉教

1642年7月、メンチンスキーはフィリピンのマニラへ赴き、そこで宣教師たちと合流した後、中国人に偽装して日本へ向かいました。同年7月に鹿児島県に上陸し、8月12日には薩摩半島に到達しました。しかし、上陸翌日の8月13日、メンチンスキーと宣教師たちは、将軍徳川家光の部下に捕縛され、8月21日に長崎へ移送されました。

長崎では、沢野忠庵（クリストヴァン・フェレイラ）の通訳を通じて尋問を受けましたが、誰も信仰を捨てることを拒否しました。その結果、1642年8月末から1643年3月16日まで、厳しい拷問を受けました。その後、メンチンスキーを含む宣教師たちは、長崎の西坂刑場へ連行され、殉教しました。メンチンスキーは、1643年3月23日に殉教し、その生涯を終えました。

関連書籍

M. Czermiński, Życie ks. Wojciecha Męcińskiego Kraków 1895
Hagiografia polska II s. 124-137
* W. Padacz, Z polskiej gleby. Kraków 1973 s. 446-461

もう一度検索