マラッカ

マラッカ：歴史と文化が交錯するマレーシアの古都

マラッカは、マレーシアのマラッカ州の州都であり、マレー半島の南西部に位置する港湾都市です。古くから東西交易の要衝として栄え、その歴史は14世紀のマラッカ王国建国に遡ります。マラッカ海峡に面し、多様な文化が交錯するこの都市は、現在では世界遺産にも登録され、多くの観光客を魅了しています。

マラッカの歴史

マラッカ王国時代（1396年頃～1511年）

マラッカの歴史は、1396年頃にシュリーヴィジャヤ王国の王子パラメスワラによってマラッカ王国が建国されたことに始まります。パラメスワラは、マジャパヒト王国の内乱を機に独立を試みましたが失敗し、テマセック（現在のシンガポール）を経てマラッカに逃れました。この地で国を建て、その名前の由来は、彼が休憩中に小鹿が猟犬を蹴るのを目撃し、その木の名前から取ったとされています。

15世紀初頭には、明の鄭和の艦隊がマラッカに寄港し、朝貢貿易を通じて明との関係を深めました。マラッカ王国はイスラム化し、香辛料貿易の中継地として繁栄を極めました。

ポルトガル領マラッカ時代（1511年～1641年）

1511年、ポルトガルがマラッカを征服し、東南アジアにおける拠点としました。ポルトガル時代にはサンチャゴ砦やセントポール教会などの要塞や教会が建設されました。また、フランシスコ・ザビエルがここから東アジアへの布教に出発したことでも知られています。ポルトガルはマラッカを拠点に周辺地域への勢力拡大を図りました。

オランダ領マラッカ時代（1641年～1824年）

1641年、オランダ東インド会社がジョホールのスルターンの援助を得てマラッカを占領しました。オランダはジャワ島のバタヴィアを拠点としていたため、マラッカは錫などの資源を輸出する地方港としての役割を担うことになりました。

イギリス領海峡植民地時代（1824年～1941年）

1824年、英蘭協約により、マラッカはスマトラ島のアチェ王国と交換にイギリスに譲渡されました。イギリスはペナンやシンガポールと共に海峡植民地を設立しましたが、シンガポールの台頭により、マラッカの港湾機能は衰退していきました。

旧日本軍占領時代（1941年～1945年）

太平洋戦争中、マラッカは旧日本軍に占領され、日本の統治下に置かれました。

マラヤ連邦から現代へ

終戦後、イギリスが再び海峡植民地としましたが、独立運動が高まり、1948年にマラヤ連邦が成立、1957年に完全独立を果たしました。マラヤ連邦の独立宣言が行われた地もマラッカです。1989年には「歴史の都市」として市制が承認され、現在では観光都市として発展しています。2008年には、ジョージタウンと共にユネスコの世界遺産に登録されました。

世界遺産登録

マラッカは、以下の基準を満たし、ユネスコの世界遺産に登録されました。

(2) 建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展における人類の価値の重要な交流を示すこと。
(3) 現存または消滅した文化的伝統や文明の唯一または稀な証拠を示すこと。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積、または景観の優れた例であること。

近年の動き

マラッカは、かつてのマラッカ海峡の主要港湾としての地位を取り戻すため、中国の一帯一路構想に基づいた開発計画を受け入れました。これにより、人工島の建設や深水港湾の整備が進められていますが、中国による軍港化を懸念する声も上がっています。

観光

マラッカには、数多くの歴史的な観光スポットがあります。

オランダ広場 (Dutch Square)：マラッカの象徴的な場所で、赤レンガの建物が特徴的です。
スタダイス (Stadthuys)：オランダ総督の官邸として使われた建物で、現在は博物館になっています。
セント・ポール教会 (St. Paul`s Church)：ポルトガル時代に建てられた教会跡で、フランシスコ・ザビエルの像があります。
サンチャゴ砦 (Porta de Santiago)：ポルトガル軍によって築かれた砦の一部です。
ジョンカー通り（Jalan Hang Jebat）: 伝統的なショップハウスが並ぶ通りで、お土産探しに最適です。
マラッカ・スルタン・パレス (Malacca Sultanate Palace)：スルタンの王宮を復元した木造建築です。
マラッカ動物園 (Zoo Melaka)：国内で2番目に大きい動物園です。

経済

マラッカは観光業が盛んであり、ショッピング施設も充実しています。

ロータス: セントラル・バスターミナル近くにある旧テスコハイパーマーケットです。
AEON: 市街地と郊外に店舗があります。

交通

空港: バトゥ・ブレンダム空港がありますが、国際定期便はインドネシア便のみです。
鉄道: マレー鉄道の最寄り駅はタンピン駅ですが、市内まで時間がかかります。
モノレール: マラッカ・モノレールがありますが、現在休止中です。
バス: セントラル・バス・ターミナルから長距離バスが各都市へ運行しています。

対外関係

マラッカは、以下の都市と姉妹都市・提携都市の関係を結んでいます。

クアラルンプール（マレーシア）
バルパライソ（チリ）
長沙市（中国）
南京市（中国）
カシュガル市（中国）
ホールン（オランダ）
* リスボン（ポルトガル）

マラッカは、歴史的な建造物や多文化が融合した魅力的な都市であり、訪れる人々を魅了し続けています。

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