ヴォルナ (ロケット)

ヴォルナロケットについて

ヴォルナ（ロシア語: Волна）は、ロシアが開発した人工衛星打ち上げ用ロケットで、潜水艦発射弾道ミサイル（SLBM）であるR-29Rを基にしています。名前の「ヴォルナ」はロシア語で「波」を意味しており、その名の通り、海上からの発射が可能な特性を持っています。このロケットは、3段式の液体燃料ロケットであり、デルタIII級原子力潜水艦や地上発射施設から打ち上げられます。

性能

ヴォルナは、これまでバレンツ海に配備された潜水艦からの打ち上げが実施されてきました。ロケットは、高度約400km、または79度の軌道傾斜角を持つ軌道に、100kgのペイロードを送ることが可能です。また、弾道軌道への打上げの場合には、最大720kgの回収カプセルや400kgまでの研究機器を搭載できます。

打上げ履歴

ヴォルナロケットの歴史は1995年6月6日に始まり、初めての打ち上げが成功を収めました。この打ち上げでは、ドイツの大学が開発した実験モデルがペイロードとして搭載されました。

2001年7月20日には、惑星協会が手掛けたソーラーセイル実験用のコスモス1試験機と、インフレータブル再突入耐熱シールド実験（IRDT-1）のための打ち上げが行われましたが、ペイロードの分離に失敗してしまい、結果的に落下しました。

翌年の2002年7月12日にもIRDT-2を搭載した打ち上げが行われましたが、これもまたペイロードの分離に失敗し、実験は予定通りには進みませんでした。

その後、2005年6月21日、ソーラーセイルのコスモス1を再び打ち上げようとした試みがありましたが、その際にはロケットの一段目が予定よりも早く燃焼を止めてしまい、打ち上げは失敗となりました。

同年10月6日には、IRDT-2Rを搭載した打ち上げが行われました。ペイロードの分離自体は正常に行われたものの、回収のために定めたカムチャツカ半島上空を通過したため、回収はできませんでした。

最後に

ヴォルナロケットは、多くの打上げ試行の中で成功と失敗を繰り返しながら、その技術と性能の向上を図ってきました。現在、ロシア国防省からの方針により、宇宙用の打ち上げ機としてはヴォルナロケットが使用されないことが発表されていますが、過去の実績は今後の新たなロケット開発に影響を与えるでしょう。ロケット技術は、国際的な競争の中で重要な要素であり、ヴォルナの開発はその一環として評価されます。

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