ヴォルフガング・エッガー

ヴォルフガング・ヨーゼフ・エッガーは、1963年、ドイツのオーベルストドルフに生まれました。彼の名は、自動車デザイン史に燦然と輝く数々の名車の誕生に深く関わったデザイナーとして知られています。

エッガーのキャリアは、イタリア・ミラノの国際芸術工科大学でのデザイン修学から始まります。1989年に卒業後、彼はアルファロメオのデザイン部門に工業デザイナーとして入社。才能はすぐに開花し、1993年にはチーフデザイナーに抜擢されました。この期間、エッガーはアルファロメオのデザイン言語に大きく貢献し、数々のモデルの開発に携わったことでしょう。

1998年には、スペインの自動車メーカー、セアトへ移籍し、チーフデザイナーに就任。イビサ、コルドバ、アルテアなど、個性的なスタイルを持つ数々のセアト車を世に送り出しました。エッガーの手腕により、セアトはブランドイメージの刷新に成功し、市場における存在感を高めたと言えます。

その後、2001年にはランチアのデザイン部長に就任するも、同年にアルファロメオのチーフデザイナーへ復帰。この間、彼はヌヴォーラコンセプト、156、166、147、そして名車8Cコンペティツィオーネといった、アルファロメオを代表する数々のモデルのデザインに携わりました。これらのモデルは、エッガーの卓越したデザインセンスと、アルファロメオの伝統を巧みに融合させた傑作として高く評価されています。

2007年、エッガーは大きな転機を迎えました。ワルテル・デ・シルヴァの後任として、アウディグループのデザイン部長に就任したのです。アウディとランボルギーニブランドのデザイン責任者として、彼は両ブランドのデザイン戦略を指揮しました。この期間、アウディのデザインは更なる洗練を極め、世界的な成功を収めることになります。エッガーの貢献は計り知れません。

2013年には、アウディからイタルデザイン・ジウジアーロに移籍。その後、2016年にはフォルクスワーゲングループを退社し、中国の自動車メーカー、BYDオートのデザイン本部長に就任しました。

BYDオートにおいても、エッガーの才能は輝きを放ちました。2017年4月の上海モーターショーでは、エッガーが指揮を執った最初のBYD車となる「王朝」（2代目唐の先行コンセプト）が発表され、世界中から注目を集めました。これは、エッガーがグローバルな自動車業界で活躍し続けていることを示す重要な出来事でした。

エッガーのキャリアは、単なる自動車デザイナーの枠を超え、自動車メーカーのデザイン戦略そのものを変革してきたと言えるでしょう。彼のデザイン哲学は、各メーカーのアイデンティティを明確にし、ブランドイメージの向上に大きく貢献しました。今後も、世界の自動車デザイン業界において、エッガーの動向から目が離せません。

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