ヴォルフスアンゲル

ヴォルフスアンゲル：紋章の歴史と変遷

ヴォルフスアンゲル（Wolfsangel）は、ドイツ語で「狼の罠」を意味する言葉で、元々は狼を捕獲するための狩猟道具でした。この道具は、2つの金属部品と鎖で構成されており、片側に餌を付けて、狼が飛びつかない高さに設置することで狼を捕獲する仕組みでした。

自由と独立の象徴

初期のヴォルフスアンゲルは、魔法の力が宿ると信じられていましたが、15世紀にドイツの王子とその傭兵による抑圧に対する農民反乱の紋章として採用された後、自由と独立の象徴としての意味を持つようになりました。

ナチスのシンボルとして

しかし、近代に入ると、ヴォルフスアンゲルはナチ党の最初のシンボルとなり、第二次世界大戦中には、第2SS装甲師団や第34SS義勇擲弾兵師団など、様々なナチス・ドイツの部隊によって記章として使用されました。これにより、ヴォルフスアンゲルはナチズムの象徴としてのイメージが強く結びつくことになりました。

ナチス・ドイツでは、ヴォルフスアンゲルは以下の組織によって使用されました。

第2SS装甲師団
第4SS警察装甲擲弾兵師団
第34SS義勇擲弾兵師団
装甲擲弾兵師団「フェルトヘルンハレ」
国家社会主義公共福祉
オランダ国家社会主義運動
ヴェアヴォルフ

現代における使用

第二次世界大戦後も、ヴォルフスアンゲルは一部の団体によって使用されています。例えば、ウクライナ社会民族党、社会民族会議、アゾフ大隊などが同様の紋章を使用しています。これらの団体は、この紋章は「Ідея Нації」（ウクライナ語で「国民思想」の略）というスローガンを表しており、ナチズムとの繋がりはないと主張しています。

2020年には、Z世代のTikTokユーザーが腕に「ジェネレーションƵ」のシンボルを付け、「私たちの世代の団結のシンボルとしてだけでなく、反逆のサインとしても」使うという短いトレンドがありました。トレンドの創始者は、シンボルとヴォルフスアンゲルが似ていることに気付き、後にそれを撤回しました。

このように、ヴォルフスアンゲルは、時代や場所によって様々な意味を持つシンボルとして存在し続けています。その歴史的背景を理解することは、現代社会におけるシンボルの意味を考察する上で重要です。

関連項目

黒い太陽 (記号)
制服 (ナチス親衛隊)

参考文献

K. von Alberti (1960) (ドイツ語). Die sogenannte Wolfsangel in der Heraldik. Südwestdeutsche Blätter für Familien und Wappenkunde. p. 89
H. Horstmann (1955) (ドイツ語). Die Wolfsangel als Jagdgerät und Wappenbild. Vj. Bl. d. Trierer Gesellschaft für nützliche Forschungen

外部リンク

List of symbols outlawed in Germany.
Neonazi (Sweden) flags.
Reconstruction of a medieval wolf-trap.

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