ヴュルツブルク大公国

ヴュルツブルク大公国は、19世紀初頭のナポレオン戦争の時代に、現在のドイツに存在した国家です。首都はヴュルツブルクに置かれました。

大公国成立の背景

1801年のリュネヴィルの和約により、ヴュルツブルク司教領は1803年に世俗化され、バイエルン選帝侯領に併合されました。同年、元トスカーナ大公であったフェルディナンド3世は、補償としてザルツブルク選帝侯領を獲得しました。しかし、1805年のプレスブルクの和約によって、フェルディナンド3世はザルツブルク選帝侯領をオーストリア帝国に割譲することになり、その代償としてヴュルツブルクを獲得しました。ヴュルツブルクは、バイエルンがチロル伯領を獲得するための代償として割譲されたものでした。

ヴュルツブルク選帝侯領から大公国へ

フェルディナンド3世の領国は、短期間「ヴュルツブルク選帝侯領」として知られていました。しかし、1806年8月6日に神聖ローマ帝国が解体されたことに伴い、大公国に昇格しました。同年9月30日にはライン同盟に加盟し、1810年にはバイエルン王国からシュヴァインフルトを獲得しました。

大公国の終焉

1813年、ナポレオン・ボナパルトがライプツィヒの戦いで敗北すると、フェルディナンド3世は同年10月26日にフランス第一帝政との同盟を解消しました。1814年6月3日、オーストリアとバイエルンは条約を締結し、ヴュルツブルク大公国は解体され、バイエルンに併合されることになりました。フェルディナンド3世は、ウィーン会議においてトスカーナ大公国を再び獲得しました。

その後

カトリックのヴュルツブルク司教区は1821年に再設立されましたが、世俗における権力は持ちませんでした。

ヴュルツブルク大公国は短命な国家でしたが、ナポレオン戦争という激動の時代における勢力関係の変化を象徴する存在と言えるでしょう。

参考文献
* Köbler, Gerhard (1988) (ドイツ語). Historisches Lexikon der deutschen Länder. Munich: Verlag C. H. Beck. p. 639. ISBN 3-406-33290-0

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